前田和男(まえだ・かずお) 翻訳家・ノンフィクション作家
1947年生まれ。東京大学農学部卒。翻訳家・ノンフィクション作家。著作に『選挙参謀』(太田出版)『民主党政権への伏流』(ポット出版)『男はなぜ化粧をしたがるのか』(集英社新書)『足元の革命』(新潮新書)、訳書にI・ベルイマン『ある結婚の風景』(ヘラルド出版)T・イーグルトン『悪とはなにか』(ビジネス社)など多数。路上観察学会事務局をつとめる。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
25年ぶりに『続・全共闘白書』刊行
では全共闘体験者の「今後」はどうか。彼らの大半は、世代的には堺屋太一の命名による「団塊世代」と重なっているが、果してその「傾向と志向」は同じかどうか、である。その答えは以下の二つの回答から浮かび上がってきそうだ。
問39 ボランティア活動
[熱心に取り組んでいる]157名(35.2%)
[ときどき参加する]127名(28.5%)
[やっていない]153名(34.3%)
[その他・記述なし]9名(2.0%)
★25年前の回答
[熱心に取り組んでいる]118名(22.4%)
[ときどき参加する]110名(20.9%)
[やっていない]272名(51.7%)
[その他・記述なし]26名(4.9%)
問69 政治社会運動参加意思
[ある]269名(60.3%)
[ない]123名(27.6%)
[その他・記述なし]54名(12.1%)
★25年前の回答
[ある]204名(38.8%)
[ない]181名(34.4%)
[その他・記述なし]141名(26.8%)
厚労省は2025年に団塊世代が後期高齢者になることに危機意識をもち多岐にわたる調査をしているが、そのなかの「ボランティア活動」については「していない」が69.9%である。ところが全共闘世代は「ときどきやる」を入れると社会活動参加率が逆に7割超で、25年前の「現役時代」よりも増大している。政治参加意識も同様で、ここでも「老いてますます意気軒高」である。
運動終息後長髪を切って就職し牙を抜かれたと揶揄されてきた全共闘世代だが、この統計数値からは、牙を密かに研いできたようだ。どうせ老い先は短いのだからと〝最後の反乱〟――老人全共闘運動が起きるかもしれない。
上記統計数値もさることながら、本書の圧巻は、最終設問75の「今だから話せること、伝え遺したいこと」への回答、すなわち元全共闘の〝遺言〟である。本書には、日大・東大闘争被告をはじめ獄中から重信房子氏、和光晴生氏、北朝鮮から「よど号」当事者も回答を寄せている。
なかでも、彼らによる「全共闘運動論」は興味ぶかい。全共闘運動からいち早くもっとも遠い地平へと飛翔していったアクティビストたちが、揃いもそろって全共闘を自戒をこめて評価しているのである。まずは元日本赤軍の重信房子氏である。
「私は、視野が狭く『図に乗りすぎた闘い方』だったと、自分(たち)の闘いを振り返ります。私と違って、全共闘運動の経験から地域へ、