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相模原事件・植松被告の「確信」と社会の空気

「いのちの分断」が進む社会で生きるのに必要な「参加することに意義がある」への異議

奥田知志 NPO法人抱樸理事長、東八幡キリスト教会牧師

拡大「相模原・津久井やまゆり園事件」の初公判に出廷した植松聖被告=横浜地裁、絵と構成・柚木恵介

 2020年となった。オリンピック・パラリンピックイヤーを迎え、東京の街は活気づいている。その日のために日々鍛錬を続けるトップアスリートの活躍は、多くの人に感動を与えるに違いない。かつて、「スポ根ドラマ」に涙した私は、この夏の感動にひそかに期待を寄せている。

 だが、そんなオリンピックイヤーが「相模原・津久井やまゆり園事件」の初公判(1月8日)と共に始まったことは、偶然と言えばそれまでだが、私には「ある時機」を感じさせた。

犯人は何を「確信」していたのか?

 2016年7月、相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」が、当時26歳の元職員に襲撃され、19人が殺され、26人が負傷した。戦後最悪の凶悪事件に社会は震撼した。だが、この事件の闇は被害者の数に留まらない。

 私は、この事件の闇を「確信犯」に見る。

 「確信犯」は、「悪いと解っていて罪を犯すこと」と理解されることが多いが、それは正しくはない。「確信犯」とは、「自分が正しいこと、意義のあることをしていると確信して行われる犯罪」を意味する。

 この事件の犯人は何を「確信」していたのだろうか。あの虐殺にどのような「意義」を見出していたのだろうか。


筆者

奥田知志

奥田知志(おくだ・ともし) NPO法人抱樸理事長、東八幡キリスト教会牧師

1963年生まれ。関西学院神学部修士課程、西南学院大学神学部専攻科をそれぞれ卒業。九州大学大学院博士課程後期単位取得。1990年、東八幡キリスト教会牧師として赴任。同時に、学生時代から始めた「ホームレス支援」に北九州でも参加。事務局長等を経て、北九州ホームレス支援機構(現 抱樸)の理事長に就任。これまでに3400人(2019年2月現在)以上のホームレスの人々の自立を支援。その他、社会福祉法人グリーンコープ副理事長、共生地域創造財団代表理事、国の審議会等の役職も歴任。第19回糸賀一雄記念賞受賞な ど多数の表彰を受ける。NHKのドキュメンタリー番組「プロフェッショナル仕事の流儀」にも2度取り上げられ、著作も多数と広範囲に活動を広げている。著書に『もう一人にさせない』(いのちのことば社)、『助けてと言える国』(茂木健一郎氏共著・集英社新書)、『生活困窮者への伴走型支援』(明石書店)等

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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