国際基準に反する日本の司法制度の「インジャスティス」
2020年01月18日
「保釈中にレバノンに逃亡した日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告(65)の会見を受け、森雅子法相は1月9日午前0時40分すぎから臨時の記者会見を開き、『潔白というのなら司法の場で無罪を証明すべきだ』と述べた。日本側の正当な主張を速やかに世界に発信するため、極めて異例となる未明の会見となった」(「 森法相「司法の場で無罪証明を」 ゴーン被告会見に反論 異例の未明会見」 産経新聞ウェブ版1月9日)
検察官(外国ではこういう場合government〈政府〉と言う)が有罪を立証しなければ被告は無罪になるというのは、世界共通の刑事裁判の原則だ。それを日本の法務大臣が記者会見で否定した。
弁護士の間では「クビが飛ばなければならない」「森法相は弁護士のはず」「まさか」「誤報ではないか」とメールが飛び交った。
その深夜テレビで会見を見ていた私も「証明」と確かに聞いた。FNNニュースの動画でも確認されている。だが、政府の公式HPでは「証明」は「主張」に変えられていて、法相は後に「主張と言うつもりを言い間違えた」と弁明した。
記者会見だから「言わなければならない・言うつもり」が、ついルーティンの思考が言葉になってしまった? それほどこの夜の法相の会見は怒りに満ちていた。
上記産経によれば、森法相は、ゴーン氏が日本の刑事司法制度を批判したことには「刑事司法制度の一部のみを切り取った批判は適切ではない」と反論。「日本では捜査機関から独立した裁判官による審査を経て令状を得なければ捜査機関が逮捕することはできない」と指摘した。
また、ゴーン氏に対しては「主張すべきことがあるのであれば、わが国の公正な刑事司法手続きの中で主張を尽くし、公正な裁判所の判断を仰ぐことを強く望む」と強調したという。「東京地検の斎藤隆博次席検事は9日、前日産自動車会長のカルロス・ゴーン被告(65)がレバノンで開いた記者会見に対し、『自らの行為を不当に正当化するものにすぎない。わが国の刑事司法制度を不当におとしめるもので、到底受け入れられない』とのコメントを出した」(毎日新聞ウェブ版1月9日)。「不当」が二回!
日本の大晦日。地方ごとの年越し風景だけが次々に映るテレビの画面に突然「カルロス・ゴーン被告が『私はレバノンにいる』と声明を出しました」というアナウンスが、以前に撮られた本人の映像の上に流れて、この国の年越しは突然騒然となった。
出入国審査をかいくぐっての「逃亡」に、法務・検察を中心に怒りが渦巻き、世上は
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