帰国後の再検査でも異常なし 退院し静養へ
2020年01月21日
1月15日、マレーシアでの国際大会(マレーシアマスターズ)優勝後、空港へ移動する車で死傷事故に巻き込まれたバドミントン世界ランキング1位の桃田賢斗(25=NTT東日本)と、平山優コーチ、森本哲史トレーナーが予定していた帰国日よりも2日遅れて帰国した。
100人を超える報道陣が待ち構える到着ロビーに、桃田は帽子、マスク、眼鏡をつけて歩み出る。当初、空港側は車いすの手配を準備していたが断った。自身でリュックを背負い、眉間の痛々しい傷は見えたものの、しっかりと歩こうと前を向いたようにうかがえた。
成田空港から再検査のために病院に直行したが、17日には、身体面に異常なしとの診断を受けて退院。所属のNTT東日本を通して「当面は静養することになりますが、心身の回復に努め、1日も早く元気なプレーをお見せし、支えて下さっているみなさまに恩返しをしていきたいと考えています」(途中略)とコメントを発表した。今後は少しずつトレーニングを再開する。
事故に巻き込まれる結果となってしまったが、遠征を切り上げ、一足早く帰国しようとしたのは、足に炎症など疲労が蓄積していたためだった。すでに、4月発表予定の五輪出場権は確実なものとしており、入念に準備されたトレーニング計画再開のめどを、早く決めたいと話しているともいう。
バドミントンの世界ランキング1位でなくとも、金メダル候補ではなくとも、24歳のドライバーが死亡する重大事故が与えた衝撃ははかり知れない。事故が起きた13日以降、現地からの情報収集にあたっていた銭谷欣治バドミントン協会専務理事が14日に会見を行い、「命に別条がなかったのは奇跡。月並みだが神様に感謝したい」と大勢の取材者、カメラを前に思わず涙ぐんだ。桃田が、死亡したドライバーの後部に座っていた点、シートベルトは全員着用していたなど、事故の詳細を知ると、専務の涙は当然だろう。
オリンピック代表選考は、かつての決定方法とは激変している。バドミントンだけではなく、卓球、柔道、ウェートリフティング、馬術、新競技として実施されるスポーツクライミング、サーフィンなど国際ランキングで出場権を決定する競技や、主要国際大会での成績で決定する選考基準など、国内選考会だけで決まる競技はほとんどない。
こうした状況下で、選手が国際試合にコンスタントに出場するのも当たり前になっており、日本選手の活躍を見れば高いリスクを背負っての結果だったと改めて思い知らされる。
論座トークイベント「日本ラグビーの未来を語ろう」参加者募集中
ラグビーワールドカップ日本大会の興奮から2カ月が過ぎ、国内ラグビーは新しいシーズンに入っています。国内最高峰のトップリーグは2020年1月12日に開幕、さらに2月1日から始まるスーパーラグビーでは、日本を拠点とするサンウルブズが南半球の強豪クラブと競い合います。ワールドカップで高まったラグビー人気と関心を一過性のものにさせず、今後も日本代表の活躍を見続けるためには、何が必要なのか。私たちファンには何ができるのか。共に考えていきましょう。日本ラグビー協会理事で法学者の谷口真由美さん、元日本代表の小野澤宏時さん、朝日新聞論説委員(スポーツ担当)部の西山良太郎記者が登壇します。
◆開催日時・場所
1月28日(火曜)19時~21時(18時30分開場)
朝日新聞東京本社 本館2階読者ホール(地下鉄大江戸線築地市場駅すぐ上)
◆定員・参加費
定員80人 参加費 1500円
◆申し込みや詳しい内容
Peatixの「論座」のページへ(ここをクリックしてください)
五輪を前に今回の件をJOC(日本オリンピック委員会)は移動手段だけではなく、その手配、安全確認を含め、早急に注意喚起を促すとする。海外での事故、病気に備える保険は各競技団体、JOC、選手それぞれが加入するルールだ。
桃田の事故では、車が安価だったなどと指摘される。しかし、アウェーが増えれば、行く国も決して先進国だけではなくなる。むしろそうではない国のほうが圧倒的に多い。日本の感覚で常に準備できると考えるのは極めて困難だろう。まして今回は国際競技会の主催者(マレーシア協会)、事務局が単独で帰国する桃田のために手配したものだ。空港移動では車種、人員の不手際、時間違いなど、現地でヒヤリとした経験を持たない選手、関係者などいないはずだ。桃田らが朝4時にホテルを出発したのも、都心の渋滞を避けるためだった。
「アウェー」専門のサッカーでも危機管理は難しい。サッカーほど潤沢な資金を持ち、さらに高額な契約を持つ選手たちのアテンドも、
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