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バドミントン・桃田の事故の衝撃と教訓

帰国後の再検査でも異常なし 退院し静養へ

増島みどり スポーツライター

拡大マレーシアから帰国した桃田賢斗選手=2020年1月15日、成田空港、内田光撮影

 1月15日、マレーシアでの国際大会(マレーシアマスターズ)優勝後、空港へ移動する車で死傷事故に巻き込まれたバドミントン世界ランキング1位の桃田賢斗(25=NTT東日本)と、平山優コーチ、森本哲史トレーナーが予定していた帰国日よりも2日遅れて帰国した。

 100人を超える報道陣が待ち構える到着ロビーに、桃田は帽子、マスク、眼鏡をつけて歩み出る。当初、空港側は車いすの手配を準備していたが断った。自身でリュックを背負い、眉間の痛々しい傷は見えたものの、しっかりと歩こうと前を向いたようにうかがえた。

 成田空港から再検査のために病院に直行したが、17日には、身体面に異常なしとの診断を受けて退院。所属のNTT東日本を通して「当面は静養することになりますが、心身の回復に努め、1日も早く元気なプレーをお見せし、支えて下さっているみなさまに恩返しをしていきたいと考えています」(途中略)とコメントを発表した。今後は少しずつトレーニングを再開する。

 事故に巻き込まれる結果となってしまったが、遠征を切り上げ、一足早く帰国しようとしたのは、足に炎症など疲労が蓄積していたためだった。すでに、4月発表予定の五輪出場権は確実なものとしており、入念に準備されたトレーニング計画再開のめどを、早く決めたいと話しているともいう。

 バドミントンの世界ランキング1位でなくとも、金メダル候補ではなくとも、24歳のドライバーが死亡する重大事故が与えた衝撃ははかり知れない。事故が起きた13日以降、現地からの情報収集にあたっていた銭谷欣治バドミントン協会専務理事が14日に会見を行い、「命に別条がなかったのは奇跡。月並みだが神様に感謝したい」と大勢の取材者、カメラを前に思わず涙ぐんだ。桃田が、死亡したドライバーの後部に座っていた点、シートベルトは全員着用していたなど、事故の詳細を知ると、専務の涙は当然だろう。

 オリンピック代表選考は、かつての決定方法とは激変している。バドミントンだけではなく、卓球、柔道、ウェートリフティング、馬術、新競技として実施されるスポーツクライミング、サーフィンなど国際ランキングで出場権を決定する競技や、主要国際大会での成績で決定する選考基準など、国内選考会だけで決まる競技はほとんどない。

 こうした状況下で、選手が国際試合にコンスタントに出場するのも当たり前になっており、日本選手の活躍を見れば高いリスクを背負っての結果だったと改めて思い知らされる。

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◆開催日時・場所
 1月28日(火曜)19時~21時(18時30分開場)
 朝日新聞東京本社 本館2階読者ホール(地下鉄大江戸線築地市場駅すぐ上)
定員・参加費 
 定員80人 参加費 1500円
申し込みや詳しい内容
 Peatixの「論座」のページへ(ここをクリックしてください)

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筆者

増島みどり

増島みどり(ますじま・みどり) スポーツライター

1961年生まれ。学習院大卒。84年、日刊スポーツ新聞に入社、アマチュアスポーツ、プロ野球・巨人、サッカーなどを担当し、97年からフリー。88年のソウルを皮切りに夏季、冬季の五輪やサッカーW杯、各競技の世界選手権を現地で取材。98年W杯フランス大会に出場した代表選手のインタビューをまとめた『6月の軌跡』(ミズノスポーツライター賞)、中田英寿のドキュメント『In his Times』、近著の『ゆだねて束ねる――ザッケローニの仕事』など著書多数。

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