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大リーグに激震 「サイン盗み」のどこが問題か?

大リーグの不文律と機構の規程に違反したアストロズ。沈静化までは時間がかかる気配

鈴村裕輔 名城大学外国語学部准教授

 「サイン盗み問題」と大リーグの不文律

 2019年11月にこの問題が発覚した際、少なからぬ球界関係者は事態をさほど重要視しなかった。何故なら、何らかの形で相手のサインを見抜こうとする行為が行われていることは、大リーグにおける公然の秘密だったからだ。

 他の競技と同様、大リーグにも規則には書かれていないものの、長年の習慣によって形成されてきた不文律が存在する。

 たとえば、「大量点を取っているチームは盗塁してはならない」「本塁打を放った打者が大げさにガッツポーズをしてはいけない」などは、大リーグの代表的な不文律だ。そして、不文律を破った選手は、対戦相手から制裁を受けても甘受しなければならないというのも、球界の不文律だ。

 もちろん、こうした不文律がいつも適用されるわけではないし、誰もが支持しているわけでもない。

 千葉ロッテマリーンズの監督を務め、大リーグでもテキサス・レンジャースやニューヨーク・メッツの監督などを歴任したボビー・バレンタイン氏は、「大量点というが、試合が終了するまで、何点取っても勝利が保証されることはない」と、不文律の不合理さを指摘している。

 また、ワールド・シリーズのような重要な試合や、記録の更新が期待される場面、あるいは誰もが認める大物選手などは、本塁打を放った後に大げさなしぐさをしても許される。

 「サイン盗み」に関する不文律は、

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筆者

鈴村裕輔

鈴村裕輔(すずむら・ゆうすけ) 名城大学外国語学部准教授

1976年、東京生まれ。名城大学外国語学部准教授、法政大学国際日本学研究所客員所員。法政大学大学院国際日本学インスティテュート政治学研究科政治学専攻博士課程修了・博士(学術)。専門は比較文化。主著に『メジャーリーガーが使いきれないほどの給料をもらえるのはなぜか?』(アスペクト 2008年)、『MLBが付けた日本人選手の値段』(講談社 2005年)がある。日刊ゲンダイで「メジャーリーグ通信」、大修館書店発行『体育科教育』で「スポーツの今を知るために」を連載中。野球文化學會会長、アメリカ野球愛好会副代表、アメリカ野球学会会員。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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