西山良太郎(にしやま・りょうたろう) 朝日新聞論説委員
1984年朝日新聞社入社。西部(福岡)、大阪、東京の各本社でスポーツを担当。大相撲やプロ野球、ラグビーなどのほか、夏冬の五輪を取材してきた。現在はスポーツの社説を中心に執筆。高校では野球部、大学時代はラグビー部員。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
浦和高校の洗練にしびれ、大学は早明決勝に目を見張る
浦和は3回戦で神奈川の桐蔭学園に敗れた。優勝したチームに5―78は不名誉ではない。総合力では、勝敗をひっくり返すことは難しかったろうが、奪った5点には得点以上のインパクトがあった。
後半10分すぎ、ラインアウトからモールをつくり、小柄な選手たちが幾重にも連なり、シード校の強力フォワードを揺さぶりながら押し切った。40メートルほどは進んだろうか。
モール攻撃はかつて強者のプレーだった。巨漢選手たちが体格差にものをいわせて押し込んでいく。シンプルだが、問答無用の武器だった。
しかし、考えてみれば小兵でもあっても、押す方向や、集団の組み方を突き詰めていけば、それは有効な武器になりうる。
こうした発想の転換は、この大会の別の試合でもみることができた。
スクラムやラインアウトといったプレーを再開する場面で、いつもはボールを配球する役割の小柄なスクラムハーフ(9番)が、スクラムやラインアウトの列に並び、逆に大柄なフォワードの選手が配球役のポジションにつく。相手の混乱を誘うだけでなく、さらにいつもとは違った新しい攻撃パターンを生んでいた。
ラグビーには15のポジションがあり、それを入れ替えるだけでも選択肢は広がる。自由な発想がもたらす可能性を、そこにも感じることができた。
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