望月衣塑子の質問・番外編
2020年02月02日
菅義偉官房長官の記者会見で、東京新聞社会部の望月衣塑子記者が質問をぶつけられない事態に陥っている。
これまでは記者会見の最後に2問ほど質問できていた。官房長官の記者会見は記者が挙手している限り、指名し続けるルールで運用されてきたが、質問者の選択権を持つ菅官房長官が望月記者を指名しなくなったのだ。
そして記者会見を主催する内閣記者会の幹事社の記者も1月22日午前を最後に、望月記者の質問を受けるよう菅長官に促すことをしていない。
本欄の連載「望月衣塑子の質問」(全6回:第1回はこちら)では、首相官邸が「質問内容に事実誤認がある」などとして2017年9月から2019年1月までの間に東京新聞に対して申し入れた9件のうち主要な抗議について検証してきた。その一方で、記者会見を主催する内閣記者会の姿勢については特段の言及はしなかった。
官房長官の記者会見をめぐり、内閣記者会の内部でいま、何が起こっているのだろうか。
1月29日午前の記者会見。中国・武漢を中心に広がりを見せる新型コロナウイルスによる肺炎について政府が前日(28日)に感染症法に基づく「指定感染症」と、検疫法の「検疫感染症」に指定したこともあり、このときの菅長官への質問は、新型コロナウイルス問題に集中した。
口火を切ったのは、共同通信記者。朝日、NHK、産経、日本テレビ、時事通信と6人の質問が続いた。菅長官が7人目の質問を受けようとする直前、司会進行役を務める上村秀紀・官邸報道室長がいつものように注意を喚起した。
「次の質問、最後でお願いします。このあと国会日程ありますので」
菅長官が7人目の質問者に指名したのは、時事通信の別の記者だった。菅長官が質問に答えると、幹事社の記者が「よろしいですか」と会見参加者に呼びかけた。すると、間髪置かずに上村室長が「はい、ありがとうございます」と記者会見の終了を宣言したのだった。
その間、およそ10分。
望月記者は「あります! 1問」とはっきりとした声で呼びかけたが、顧みられることはなかった。
彼女の声は幹事社の記者の耳に届いたはずだ。「幹事社の記者は望月さんが声を上げたのでびびっていた」という情報もある。
望月記者は同日午後の記者会見でも指名されることはなかった。
幹事社の対応は、その1週間前に大きく変わったのだ。
望月記者が菅官房長官に質問できた最後の記者会見(1月22日)は、菅長官を担当する報道各社の「番記者」たちが後述する望月記者への対応を東京新聞に求めるきっかけとなったとされる。
その会見は、どんな様子だったのだろうか。まずは、首相官邸ホームページから概要を紹介したい。
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