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「愛子天皇」を語ることへのためらい

「安定した皇位継承」は強制と裏表、当事者の思いをどうくみとるのか

喜園尚史 朝日新聞社会部記者

「親として、いろいろと考えることも……」

「愛子天皇」拡大18歳の誕生日を迎え、上皇ご夫妻へのあいさつに向かう愛子さま=2019年12月1日、皇居・半蔵門

 「親として、いろいろと考えることもありますが、それ以上の発言は控えたいと思います」

 今から15年前、小泉政権時代の2005年秋に、女性、女系天皇を認める有識者の報告書がまとめられました。この発言は、その直後の06年2月、当時皇太子だった天皇陛下が誕生日会見で、この報告書についての質問に答えたものです。

 親として、いろいろと考えることーー。

 当時、愛子さまは4歳。⾃⾝より年下の男⼦皇族は、 5 歳違いの弟の秋篠宮さましかいませんでした。安定的な皇位継承のために⼥性、⼥系天皇を認める報告書の意義を⼗分認識しつつ、⼀⽅で、⼀⼈の娘の幸せを願う父親の思い。世継ぎ問題の重圧などで体調を崩していた雅⼦さまも、どんな気持ちだったでしょうか。

 この報告書は、皇位継承順位について、天皇の直系を優先し、かつ男⼥に関係なく⽣まれた順とすることが適切だとしました。報告書通りに皇室典範が改正されれば、皇太⼦さまに続く皇位継承者は、愛⼦さまになります。「愛⼦天皇」がにわかに現実味を帯びました。

 しかし、事態は急転します。

 秋篠宮家に第三⼦懐妊が明らかになり、報告書に基づく法案の国会提出は直前で見送られます。

 結婚後は皇族の⾝分を離れるはずの⾃分の娘が、⼀転して天皇になるかもしれない。そう思ったとたん、また元に戻る……。その人生が、⼀つの法律にほんろうされてしまう。 そういう⽴場に⽣まれたとはいえ、ずいぶんと酷な話です。

 そして、何より気になるのは、当事者である女性皇族たちの思いです。

 現在、独身の女性皇族は6人います。

 女性、女系天皇が認められると、確かに数の上では皇位継承権者は現状に比べて格段に増えます。ただ、それだけで必ずしも安定性が確実に保たれる、というわけでもありません。

 全くの妄想ですが、年頃のある女性皇族が、突然こんな思いを公表したとします。

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筆者

喜園尚史

喜園尚史(よしぞの・ひさし) 朝日新聞社会部記者

主に社会部で皇室、国会、調査報道を担当。社会部次長、論説委員などを経て現職。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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