メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

2020年のお犬様の天国――福祉と愛護の間で

武田徹 評論家

 東京都では目標より1年早くペットの殺処分ゼロを達成した。そこまでこぎ着けるうえで“主戦場”となったのは動物愛護相談センターである。東京都では「動物の保護及び管理に関する法律」(のちの「動物の愛護及び管理に関する法律」)制定の翌1974年、世田谷に動物愛護相談センター本所が作られ、その後、日野に多摩支所が、大田区城南島に出張所が作られた。この3つが動物の引き取り・収容に始まり、収容した動物を飼い主に返還したり、譲渡会を実施したりして新たな飼い主と結びつける努力をしてきた。

動物愛護相談センター本所(世田谷区八幡山)拡大動物愛護相談センター本所(東京都世田谷区八幡山)
 そんな動物愛護相談センター本所(世田谷区八幡山)を訪ねてみた。近くに公園や清掃工場があり、住宅地からは少し離れた環状八号線沿いの一角に位置する建物は、こぢんまりとしたもので、牧場の厩舎のようなイメージを持って向かうと裏切られる。収容した犬猫を昼間遊ばせるスペースがある以外は、小さな普通の商業ビルといっても通るだろう。

 職員の案内で一般犬舎、小型犬舎、猫舎が入っている業務棟の中を見せてもらった。建物の中までクルマで入れるようになっており、逃げ出さないようにシャッターを閉めて動物を車外に出す。鑑札がついていれば一目瞭然だが、その代わりに最近は体内にマイクロチップを埋め込んでいる動物もいるのでリーダーでデータの読み出しを試みる。そして飼い主が分かれば連絡を取って引き取りに来てもらう。しかし、たとえチップが埋め込まれていようとも、登録した時と飼い主が代わっていれば役に立たない。ケージに入れられたまま放置されていたなど明らかに遺棄のケースもある。

 職員によれば「7日間は役場に公示し、インターネットの収容動物情報のページに写真を掲載します。昔は飼い主が見つからなければ、収容日から日ごとに動物を入れる区画を移してゆき、最後まで行くと致死処分になっていましたが、今は同じ場所で過ごさせて、できる限り譲渡先を探すようにしています」。

公園に設置された看板に貼られたポスター。環境省の「不幸な命を産み出さないために不妊去勢しましょう」というメッセージが添えられている=2019年4月19日、大阪市内拡大公園に設置されたポスター=大阪市内

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

武田徹

武田徹(たけだ・とおる) 評論家

評論家。1958年生まれ。国際基督教大大学院比較文化専攻博士課程修了。ジャーナリストとして活動し、東大先端科学技術研究センター特任教授、恵泉女学園大人文学部教授を経て、17年4月から専修大文学部ジャーナリズム学科教授。専門はメディア社会論、共同体論、産業社会論。著書に『偽満州国論』、『流行人類学クロニクル』(サントリー学芸賞)、『「核」論――鉄腕アトムと原発事故のあいだ』『戦争報道』、『NHK問題』など。

 

武田徹の記事

もっと見る