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義理チョコ減少もバレンタイン市場が元気なわけ

自分用でチョコレートを楽しむ需要は拡大

杉浦由美子 ノンフィクションライター

 ゴディバの「義理チョコをやめよう」広告から2年。高級チョコレートは売り上げが伸び続ける。ブルガリのチョコレートが生き残った理由は?

 2020年1月、新宿のNSビルには女性たちが長蛇の列を作っていた。彼女たちは年に一度のチョコレート販売催事『サロン・デュ・ショコラ2012』(2月2日に閉幕)に入場のために並ぶ。元々はバレンタインの時期に伊勢丹新宿店で開催していた催事だが、規模が大きくなったために、2015年以降はより大きな会場で行っている。

拡大「サロン・デュ・ショコラ 2020」の会場での様子

 来場者たちは両手にチョコレートが入った袋を持ち、満足げだ。百貨店の催事は年齢層が高くなっているが、『サロン・デュ・ショコラ』の来場者は20代~30代と若い女性が大半だ。現在、若い女性たちは、身につけるものは節約し、洋服もコスメもプチプラといわれる低価格帯のものが人気だ。なのに、なぜ、チョコレートだけは高級品が飛ぶように売れるのか。しかもその値段はどんどん高騰していく。ひと粒1000円以上のチョコレートも珍しくない。その理由を探ってみた。

ゴディバの「義理チョコをやめよう」広告から2年

拡大『サロン・デュ・ショコラ2020』のオフィシャルムック
 2018年にゴディバが「義理チョコをやめよう」というキャッチコピーの広告を出して話題になった。この頃を契機に、日本のバレンタイン市場は縮小に転じたといわれる。一方で、『サロン・デュ・ショコラ』は今年も売り上げが前年度を上回るという。一般人である我々が知らないブランドの高級チョコレートだけは、年々売り上げが伸びているのだ。

 これは伊勢丹以外の百貨店でも同じだ。

 「女性から男性へのギフトが縮小している一方で、自分用でチョコレートを楽しむ需要は拡大しています。その中で、チョコレートに関する情報を豊富にもっていらっしゃるお客様にも楽しんでいただける売り場作りをしています」(西武池袋本店 販売促進部売出計画担当・亀谷敏和さん)

 今から10年前にベルギーのチョコレートブランドを取材した時に、バレンタインの主流がギフトから、自分のために買う『マイチョコ』になっていると分かった。ジュエリーボックスにチョコレートを詰めた商品などの売り上げが伸び、それは自分へのご褒美にふさわしいものだった。

 現在はさらに進化し、「私の趣味はチョコレート」といういわばマニアックなチョコレートファン層が誕生し、その数が増えている。その層が百貨店のバレンタイン商戦のメイン客となりつつあり、『趣味チョコ』の時代が到来といえよう。

 板チョコ状のチョコレートだけでなく、柔らかい口どけのフランスのチョコレート菓子が好まれるのが日本の『趣味チョコ』の特性だ。今年はショコラテリーヌなどのより生菓子に近い商品が増えている。賞味期限が短いのでギフト用としては使い勝手がよくはない。自分で食べるために買い求められる。

 また、西武池袋では『チョコレートパラダイスセカンズ』というキャンペーンを全館で行い、ファッション売り場にバレンタイン関連の企画を展開している。その一環として、個性的な銘柄のチョコレートを4階の婦人服売り場に置いたところ、このチョコレート目当ての客が訪れるという。通好みのチョコレートだが固定のファンが買い求めにくる。

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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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