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史上最多動員を記録した19年から世界的リーグへ

27年目の開幕を迎えるJリーグ

増島みどり スポーツライター

拡大ゼロックススーパーカップの前半、神戸のイニエスタ(中央)は中盤で横浜マの喜田とオナイウのマークを受けながらボールをキープする=伊藤進之介撮影

宮崎キャンプ地、大ベテラン勢の躍動感

 今年もJリーグの多くのクラブが宮崎キャンプでトレーニングを行い、2月21日、通称「金ジェイ」(金曜日開催のJリーグ)の開幕を目指している。いくつかのキャンプ地、クラブをめぐる中で、2020年のリーグを占えるような兆しを強く感じた。

 2月1日、日南市で今季13年ぶりのJ1復帰を果たした横浜FCが、地元・宮崎でJFLに加盟し、Jリーグを目指す「テゲバジャーロ宮崎」との練習試合を行った。和歌山からの長期合宿を張り、フィジカル強化を続けてきた横浜FCはこれが今季最初の実践に。臀部の痛みを抱えていたカズ、三浦知良は欠場したが、昨年、J1磐田から移籍し昇格の原動力ともなった中村俊輔(41)、主将を務めるGK・南雄太(40)の40代コンビ、38歳の松井大輔も先発と、元日本代表が揃う華やかさに、運動公園の小さなスタジアムには年代を問わずファンが集まり、駐車場には東北や北海道の車両ナンバーが並んでいた。

 カズは、試合前に一人で自主トレを行った。試合に出ないにもかかわらず、ランニングする姿だけに多くの人が帰らずに見入ってしまう。52歳が放つエネルギーの強さを象徴するようなシーンだ。

 昨年、史上最高1140万1649人(前年比108%)の観客を動員したJリーグに、今季は「カズ」という新たな魅力が加わり、どれだけ人々の関心を集めるかが想像できる。観客数で世界のリーグトップ5入りを狙ううえでも、今年は重要な一年になる。

 復帰が決まるとすぐにグアムキャンプを例年以上に早く敢行し、体を入念に作ってきたという。かつて在籍した神戸との開幕戦(23日)では52歳だが、26日には53歳となる。

 Jリーグは今季の登録全選手を発表した。全体の最年長はこれまでと同じくカズで、52歳11カ月5日。J2はGK本間幸司(水戸)の42歳9カ月4日、J3は、カズと同じ年齢のFW中山雅史(沼津)の52歳4カ月8日。反対にJ1~J3を通じた最年少は16歳5カ月1日のMF阿野真拓(J2東京V)だから、これだけの年齢差で行われるプロリーグは多彩だ。

 この日は、1986年、カズがプロキャリアをスタートさせたサントスFCと同じ、ブラジルリーグの名門、ボタフォゴへの移籍が決まった本田圭佑、イタリアセリエAジェノワにいた際に住んだサンプドリアに移籍が決まった吉田麻也に対し、「サッカーだけじゃなくて、その土地での生活、交流も楽しんで欲しい」と、自分を追うベテラン勢を激励した。

 「筋肉痛だらけ」と笑う目尻には、深いシワが刻まれる。52歳で筋肉痛だらけ、とは、新シーズンへの自信や達成感に満ちているコメントのように聞こえた。

 中村俊輔の左足も人々を引き付ける。

 昨年はJ1磐田から移籍し、横浜FCへ。J2の横浜が昇格し、磐田が降格と、不思議な巡り合わせとなった。昨季はボランチをこなしたが、今季からは「そこが彼の本来のポジションだから」(横浜FC・下平隆宏監督)と、トップ下で起用される。10位以内、J1定着を目指すだけに、中盤でボールをどこまで保持できるかがカギで、チームの心臓を担う41歳も「走っているからあちこち痛い」と、フィジカル重視だった練習を笑う。

 クラブの平均年齢が極めて高い横浜FCのJ1カムバックは、キャリアにあぐらをかかない彼らの努力、その姿勢を広く伝えるうえでもサッカーのみならずスポーツ界にとって大きなプラスになる。

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筆者

増島みどり

増島みどり(ますじま・みどり) スポーツライター

1961年生まれ。学習院大卒。84年、日刊スポーツ新聞に入社、アマチュアスポーツ、プロ野球・巨人、サッカーなどを担当し、97年からフリー。88年のソウルを皮切りに夏季、冬季の五輪やサッカーW杯、各競技の世界選手権を現地で取材。98年W杯フランス大会に出場した代表選手のインタビューをまとめた『6月の軌跡』(ミズノスポーツライター賞)、中田英寿のドキュメント『In his Times』、近著の『ゆだねて束ねる――ザッケローニの仕事』など著書多数。

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