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映画「宮本から君へ」の裁判を目前に「様子見」のメディアの皆様へ

助成金不交付決定処分の取消を求める訴訟が始まる。表現の自由について今一度考えたい

河村光庸 映画プロデューサー

「萎縮の連鎖」を食い止める

 『宮本から君へ』を巡る提訴の経緯は、論座2019年12月20日『本日、「宮本から君へ」助成金不交付を提訴した!』や同11月11日『助成金不交付~官僚とメディアに広がる同調圧力』に記したとおりですが、あらためてこの訴訟と「表現の自由」(憲法21条)との関係を整理すると以下の通りです。

①当該出演者のシーンの削除や撮り直しをしなかったため助成金が交付されなかった
⇒「出演者の選択(キャスティング)」など表現方法への介入
②「公益性の観点」という曖昧かつ漠然とした理由で助成金の不交付を決定
⇒今後の文化活動、その他の表現行為に大きな萎縮効果を与える

 このような表現の自由の侵害や「文化」芸術活動への規制による萎縮は映画だけでなく文化芸術に関わる全ての表現者にとって絶対に放置してはいけない、いや、あってはならない最重要な問題であるはずです。

 我々はこれらによって起こる「萎縮の連鎖」を食い止めなければなりません。

 しかしながら、昨年12月にこの問題を提起し、司法への提訴を行った時に、現実には決して多くの人の賛同を得るところまではいきませんでした。一部を除くメディアは総じて無視もしくは傍観し、そして映画に携わる人々まで賛同するも一律に「様子見」ということで見過ごされてしまいました。


筆者

河村光庸

河村光庸(かわむら・みつのぶ) 映画プロデューサー

1949年生まれ。94年に青山出版社、98年にアーティストハウスを設立し数々のヒット書籍を手掛ける一方、映画出資にも参画し始め、映画配給会社アーティストフィルムを設立。08年にスターサンズを設立し、『牛の鈴音』、『息もできない』(08)などを配給。エグゼクティヴ・プロデューサーを務めた『かぞくのくに』(11)では藤本賞特別賞を受賞。ほか企画・製作作品に『あゝ、荒野』(16)、『愛しのアイリーン』(18)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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