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五輪開催の国際的信用に関わる、新型肺炎への対応

楽観論から一転、スポーツ界も大会中止の連続に

増島みどり スポーツライター

東京マラソンの一般参加者枠の縮小について問われ、応じる小池百合子・東京都知事=2月17日、東京・新宿の都庁

 2月17日夕刻、世界的な都市マラソンとして海外からの参加者も含む約3万8000人が出場する予定だった「東京マラソン」(3月1日)の一般ランナー参加の中止が発表された。抽選の狭き門を突破し、時間をやりくりしてトレーニングを続けた市民ランナーの落胆はどれほどか。新型コロナウイルスによる感染拡大を受け、東京マラソン財団は「都内での感染者が出ている以上開催は困難」と判断。医療機関、消防が今後増加する感染者への対応に追われる点、4万人ものランナー、ボランティア、関係者が給水や食べ物の受け渡しなどで密集するリスク、消毒液やマスク配布をどこまで広げるかなど様々な困難を想定した結果だ。東京五輪選考レースを兼ねたエリートランナーが参加する大会となり、車いすの部門も含めて200人程度の出場で行われる。

 2020東京オリンピック・パラリンピックの聖火リレーが始まるのを前に、2月15日、都内でリハーサルが行われた。本番さながらの運営に、見学に足を運んだ多くの人が、13年の開催決定から7年かけて始まろうとする五輪への期待に胸を膨らませていただろう。一方、同じ日、WHO(世界保健機関)は、前日14日にIOC(国際オリンピック委員会)が東京で行われた事務折衝後に「(コロナウイルスの拡大について)WHOからは、オリンピック中止や延期をする必要はない、との助言をもらっている」(IOCコーツ調整委員長)とメディアに答えた件について、「IOCに助言した事実はない。大会やイベントの中止決定はWHOではなく、主催者のものだ」と否定。13、14日と都内で行われた調整委員会で、組織員会は「五輪中止や延期は検討されていないことを改めてはっきり申し上げる」(森喜朗組織委員会会長)と機運に水を差さぬよう強調した。

 ここまで、開会まで1年を切ってからのマラソン・競歩の札幌開催への変更を突如IOCに言い出され、何とか乗り切ろうとしている組織委員会に、「万が一」を想定した新たな難問が立ちはだかる。

 過去の五輪で中止になったのは夏3回、冬2回で、すべて戦争が理由だった。

選手選考、ファン、市民スポーツにも大きな影響

 すでに多くの競技団体、選手に影響は出ている。

 8日、サッカーJリーグは新シーズンの幕開けを告げる「ゼロックススーパーカップ」を埼玉スタジアムで開催。コロナウイルスの感染拡大が伝わるようになって、前売りの勢いが若干鈍ったために心配された観客数も、当日は過去でも記録的な5万1397人に。5万人超のビッグイベントが、シーズン開幕を控えるJリーグ各クラブ、またプロ野球、多くのスポーツイベントの「前例」ともなる点をも重視し、Jリーグ村井満チェアマンは緊張感を持って対応に当たった。

・すべてのゲートに消毒液の設置
・厚労省との連携で、一般的な予防を告知するビデオを場内で上映
・ボランティア、リーグ関係者、メディアへのマスク提供と着用の依頼

 これら予防の観点に加え、もし場内で発症するなど体調不良を訴える観客が出た場合に備え、医師、看護師、待機する救急車を通常の倍とした。

 チェアマンは「医学的な情報を積極的に集め、全クラブに発信し、21日からの開幕に備える。同時に他のスポーツ団体との連携を取る必要は出てくるかもしれない」とスポーツ界も、それぞれのイベント、競技でそれぞれが対応をするより、横の連携でひとつの基準を共有する必要性があると先を見る。

 五輪を目指す選手たちにも深刻な影響が出ている。1月中に中止が決定した陸上のアジア室内選手権(2月12、13日、中国浙江省杭州)に続き、

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