赤木智弘(あかぎ・ともひろ) フリーライター
1975年生まれ。著書に『若者を見殺しにする国』『「当たり前」をひっぱたく 過ちを見過ごさないために』、共著書に『下流中年』など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
自由闊達なコミュニケーションを停滞させる「虚偽申請」
ある朝、目覚めると、僕のTwitterアカウントが凍結されていた。
長くTwitterを利用してきたが、凍結は初めての経験である。
Twitterにログインしてもツイートできなくなる場合、段階は2つに分かれる。1つは、違反と判定されたツイートを指示に従い削除したのち、提示されたペナルティタイムを過ぎれば復帰できる「アカウントロック」。もう1つは、違反ではないことを証明できない限り、アカウントが復帰しない「凍結」だ。
これまで、何度かTwitterアカウントがロックされたことはある。アカウントロックの場合、その原因の多くはNGワードである。僕の場合は、他の人の酷い言葉を批判する目的で引用RTしたところ、それがアカウントロックされたりしていた。しかも、すっかりツイートをしたことも忘れた数年前のツイートである。
アカウントロックの場合は原因とされたツイートを削除して、ペナルティとして課された一定の時間が経てばアカウントは復活するが、その時間はアカウントロックの度に延びていく。
僕の場合、集中攻撃されたのか、幾度かの数時間のアカウントロックが続き、最終的には7日のアカウントロックが開けた直後にさらに7日のアカウントロックをされ、14日に渡ってツイートできない状態となった。さすがにそれまでのツイートはすべて削除するしかなかった。
しかし、いくら時間がかかるにせよ、アカウントロックは期限が決まっており、その時間が経てばとりあえずは解除される。一方でアカウント凍結は解除の期限が明示されているわけではないので、いつ凍結が解除されるか分からないのである。
さて、ではどういう理由で凍結されたのであろうか。
メールボックスを調べたら、Twitter社からメールが来ていた。どうやらDMCAに違反したと言うことで、凍結させられたようだ。
DMCAとは「デジタルミレニアム著作権法」というアメリカの法律のことである。この法律は、著作権を侵害しているコンテンツに対して、プロバイダの責任を求めるもので、著作物を盗用された人が、プロバイダに削除を求めることができるというものだ。今回の場合の「プロバイダ」はTwitterとなる。
この申請がTwitter宛てに出されると、Twitterは自動的にそのコンテンツを削除し、アカウントをロックする。さらに報告が寄せられればアカウントは凍結されてしまう。
最初にDMCA違反があったという報告がTwitterから僕にメールで通知されたのが23:44分。そこから、最初のロックの報告が0時14分。さらに凍結されたのが0時16分。全体として、わずか30分ほどの出来事である。
これらは僕自身が寝ている時間に行われたことで、翌朝になるまで僕は一切気づかなかった。
さて、では僕は本当にTwitterを凍結されるにふさわしい、悪質な著作権侵害を犯していたのであろうか?