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「PDCA」は、変化し続ける学校にはそぐわない

やりたいことをやっちゃいませんか? やりたいことをやり続けることが大切です

住田昌治 横浜市立日枝小学校校長

 今、子ども達が大人の姿を見て、「あんな大人にはなりたくない」と思うような場面がたくさんあります。国会中継は道徳の授業で見せたらどうかという声をよく聞きます。その場に子どもがいると思って話し合いをされると、もっと建設的な議論になるでしょうね。

「まず、おとなが幸せにいてください」

 こんなことを言っている子どもがいました。「SDGsとか言いながら、大人はポイ捨てもするし、食べ残しもする、差別もするし、いじめもする、言うばっかりで行動を起こさないのはなぜですか。そのゴミを拾っているのが私たち子どもだということをどう思いますか?」

「SDGsは図書室から」

 また、教員採用試験に受かった我が子が、やっぱり教員にはならないという決断をしたという話を聞きました。1日に12時間以上働かなければならない、しかも残業代もでないブラックな仕事は嫌だと言われて、返す言葉がなかったということです。

 自分がやっている仕事を、我が子や教え子に勧められないというのは情けないことです。私たち大人は、子ども達にどんな姿を見せていけばいいのでしょう。子ども達が幸せに暮らしていくために、大人はどんな過ごし方をしていけばいいのでしょう。

 私は、こういうことを考える時にいつも思い出すことがあります。それは、川崎市の子どもの権利条例報告市民集会(2001年3月24日)での、子どもたちからおとなへのメッセージです。それは次のようなメッセージです。

 「まず、おとなが幸せにいてください。
 おとなが幸せじゃないのに子どもだけ幸せにはなれません。
 おとなが幸せでないと、子どもに虐待とか体罰とかが起きます。
 条例に〝子どもは愛情と理解をもって育まれる〟とありますが、
 まず、家庭や学校、地域の中で、おとなが幸せでいてほしいのです。
 子どもはそういう中で、安心して生きることができます。」

 子ども達の未来について考えるならば、子どもの声に耳を傾けることです。子ども達は、大人に幸せになってほしいと思っているのです。大人が生きづらい姿や争う姿、疲れ果てている姿、不満たらたらな姿で幸せそうじゃないのに、自分たちは幸せになれないと言うのです。

 子どもは大人を映す鏡です。子どもに幸せになってほしいと思うのなら、大人が幸せでなければならないのです。よく、子どものためと言いながら、大人が苦しんでいたり、苦しめていたりする話を聞きますが、子どもから見たら不幸なことなのです。子どものために自分が楽しみ、幸せに過ごしたり働いたりすること大切なのです。

やりたいことがやれてますか?

 学校現場での様子を見たり、聞いたりしていると、「やりたいことはあるんだけど、やらなきゃいけないことが多すぎてできない」という声がほとんどです。そんなことでは、働き方改革をやったって幸福な働き方には

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