2020年03月03日
男性記者たちはどこか「恐る恐る」、女性記者たちは「すぐにでも参考に」と、かなり前のめりと対照的な様子のなか、2月19日、東京都北区の国立スポーツ科学センター(通称JISS)でユニークな公開練習が行われた。
かつて「シンクロ(同調)ナイズドスイミング」と、同調性が競技の看板とされてきた種目は、今回の五輪から「アーティスティックスイミング」に名称を変える(リオデジャネイロ五輪はシンクロ)。FINA(国際水泳連盟)は、IOC(国際オリンピック委員会)から「個人種目や混合種目では同調との表現は十分ではない。また、芸術性をより追求すべき」との名称変更への助言を受け、2017年夏、シンクロを「アーティス」とする変更を決定。2018年4月からは国内でも統一され、クラブや水泳教室の名前もすべて「アーティス」に変えられている。
より芸術性に重点が置かれるようになって迎える最初の五輪、東京では、これまで以上に「美」を追求する。19日に公開されたのは、これまでのプールでのトレーニングではなく、選手が試合で施すメークの練習。練習を終え、まさに水から上がったばかりのチーム、デュエットの選手たちはノーメークで会議室に入ると、化粧品メーカー「コーセー」の担当者から指導を受けながら1時間少しかけて勝負メークを作りあげた。
従来もこうした化粧をする場面の取材機会はあったが、今回は、使用している化粧品や、すっぴんから本番仕様が完成するまで全過程を披露。井村雅代ヘッドコーチが選手にアドバイスをしては、コーセーの担当者たちに意見を求め、また選手のメークに手を加える様子には練習と同じ緊張感が漂っていた。
コーセーは2006年から、アーティスの日本代表「マーメイドジャパン」とオフィシャルコスメティックパートナー契約を結んでいる。コンセプトのひとつは、市販されているラインアップで、真夏の、しかも水中での激しい動きにも耐久性があり、映えるメークを行う点だ。
水にも落ちない化粧品は、このところの酷暑で年々市場が拡大している。汗でも流れず、化粧を美しくキープする秘訣は、一般の女性にも非常に関心が高く有望なマーケットだ。コーセーが市販品を使って、五輪のような大舞台でメークを完成させる意味は、競技性にこだわるだけではない、こうした日常使いにも応用できるところにもある。
19日にも指導にあたったメークアップアーティストの石井勲氏(コーセー社)は、今回、チームのテクニカルルーティンが「空手2020」とテーマが明確な点をメークにも十分生かせると話す。
「空手の技の勢いや力強さ、また鋭い切れ味を表現するために目元のラインを強調すると、離れた位置で見る審判にもアピールができる。また日差しにも負けないよう、発色にもこだわった」
また、乾友紀子(井村クラブ)、吉田萌(ザ・クラブピア88)の「デュエット」のプログラムは、ロボットが人間の感情を持つまでの過程を表現する「進化~エボルーション」で、こちらはロボットの無機質さと、その後変化する人間の温かみの両方を表現するため、黄緑色をまぶたに、目尻には特徴を強調する三角形のアイラインを描く。
ただし、舞台メークではないので試合当日の控室では、選手自身が約20分と短時間で準備しなくてはならない。通常は
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