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それでもマスクはした方が絶対にいい

洗いざらしの再利用のマスクでも着用することが大切なわけは

杉浦由美子 ノンフィクションライター

 新型コロナウィルスの発生で、日本各地で物不足が発生している。

 3月3日に東京郊外のスーパー、西友に行くと、いつもなら山ほど置かれる米がすべてなくなっていた。しかし、そのスーパーから徒歩3分の個人商店の精米店に行くといつものように米があった。店の人に「ここにはお米が沢山あるんですね」と話しかけると、「そうですよ。スーパーは買い占めがあったから、入荷が追いつかないだけ。去年とれたお米の在庫なんてそうそう簡単になくならない」と笑いながら答えてくれた。ようは店頭で品が減っていると、反射的に買い占めをしてしまう人たちがいるのだ。

拡大マスクは各地で品薄、売り切れが続いている=2020年2月29日、静岡市

 トイレットペーパーが売り場から消えたのは、「マスクと同じ材料だから」「原材料は中国から輸入している」という噂が流れたからといわれている。それらはまだ想定内のデマだが、米がなくなる原因はまったくわからない。女性週刊誌の記者は「外に出たくないから食料を備蓄しているのでは」と説明してくれた。

 ともあれ、1973年のオイルショック時に起きたトイレットペーパーの買い占め騒動を歴史上の出来事として知っていたが、それを追体験しているのだから驚く。最初にマスクがなくなった時に、「すぐに解消されるだろう」と高をくくっていたら、そうではなかった。そのせいか、トイレットペーパーの買い占め騒動以降は人々も冷静さを失ってしまったのかもしれない。

 そして、このトイレットペーパーや米の買い占めでわかったのは、マスクが店頭からなくなった時に、「中国人が買い占めているからだ」といわれたのも、不確かな推測だったということだ。トイレットペーパーや生理用ナプキン、そして、米といったものがなくなっていくのは、中国人が買い占めているのではなく、日本人がそうしているのだ。しかもその大半は転売目的ではない善良な人たちだ。

 マスクが店頭からなくなった頃に、50代の主婦と会話をした。主婦は頻繁にスーパーやドラッグストアに行くため、マスクが並んでいる時に遭遇するチャンスが多い。2回、上限の2箱を購入した。結果、50枚入りの箱を4つ買ったことになり、200枚の家中在庫を得た。4人家族で200枚だと毎日1枚ずつ使っても50日はもつ。また、近所の受験生がいる家庭に分けたりもする。この主婦は善良な消費者だ。こういう善意の人たちがいつもより多くマスクを買うから、マスクは不足する。

「マスクをしないでいい」は本当か?

 マスク不足解消をなくそうとし、厚生労働省のサイトでは「屋外などでは、相当混み合っていない限り、マスクを着用することによる予防効果はあまり認められていません」と書き、WHO(世界保健機関)も予防にはマスクは不要だと呼びかけている。

 ようは咳や熱などの症状がない人はマスクをしなくていい、その分、マスクを症状がある人にまわせということだ。確かに症状がある人にマスクは最優先で回すべきだが、一方で、症状がなければ着用しなくていいのだろうか。それには疑問がある。

 冬の時期、芸能人のオフショットをみると、みなマスクをしている。あれは顔を隠すことよりも、なによりもインフルエンザにかからないように身を守るためだ。俳優や女優が撮影中にインフルエンザにかかったら、それこそ大きな損害が発生する。彼らは健康管理のプロであり、そのためにマスクを着用するのだ。

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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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