国際女性デーによせて、トランス女性とともに
2020年03月09日
鮮やかな黄色いミモザが花咲く季節。3月8日は国連が定めた「国際女性デー(International Women’s Day)」だ。2019年のジェンダーギャップ指数では、過去最低の世界121位をマークした日本。性別にかかわらず自由に平等に生きていける社会にはほど遠いわけだが、こういう機会をとらえて、あきらめずに、できることをこつこつと積み重ねていく人の想いと数が多ければ多いほど、ゆるやかにではあるが、確実に社会は変えていける。
国際女性デーについて考えるとき、「女性」には幅があり、女性といっても一人ひとりが違う存在で、一つにくくれるものではない、という大前提をまず共有しておきたい。「多様性の時代にそんなのあたりまえじゃん」と言われてしまいそうである。
では、その「女性」には、女性が好きな女性であるレズビアンや、男性も女性も好きになるバイセクシュアルの女性、そして、生まれたときの性別は男性で自分の認識が女性であるトランス女性も含まれるという場合に、どれくらいの人がこういった性の多様性の前提を持っているだろうか。あるいは、今は女性として社会生活を送っているけれど、性自認は男性で、性別の移行前や、移行中というトランス男性ももちろんいる。
私自身レズビアンとして、性の多様性について講演などで啓発の活動や仕事を行っている立場で感じていることは、そもそも、性には多様性があるんだという考え方自体がまだまだ日本社会では浸透していない、ということだ。性の多様性というとき、一般的に私たちが性別をとらえるときの、「生まれたときに割り当てられた性別」以外にも、「性的指向」「性自認」「性表現」という要素を使って考える。
好きになる性別、つまり性的指向におけるマイノリティで、性的指向が同性に向いている私は、一方で、生まれたときの女性という性別に大きな違和感はなく、性自認もグラデーションの中で女性寄りだ。性自認においては、シスジェンダー(注)と呼ばれるマジョリティに含まれると思っている。
今年の国際女性デーに際しての私のアクションは、一つは、上記で述べたように女性というときに性の多様性も含めて考えてほしい、と声を上げること。
もう一つは、性の多様性の中でも、とくにトランスジェンダーの味方を意味する「トランスアライ」だと表明することだ。くわしく説明していこう。
(注)生まれたときに割り当てられた性別と性自認が一致している人
「アライ」という言葉は、近年はLGBT(性的マイノリティの総称として使っている)をサポートする文脈で使われてきた。英語のally(同盟)が語源で、当事者ではないけれど、
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください