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災害被害者の苦境は改善できるか。「被災者総合支援法案」の挑戦

人権を起点に議論を深め、「権利」「参画」「監視」の視点で支援の再構築を

田中雄一郎 論説副主幹

四つの法律を組み直して構成

 大学内外のメンバー20人あまりが参加する研究会が設置されてから3年半、30回を超える議論を経て、被災者総合支援法案はできた。発災直後の救助から復興期の生活再建までを貫く「被災者支援の基本法」という位置づけだ。既存の災害対策基本法と災害救助法、被災者生活再建支援法、災害弔慰金支給等法の四つの法律を「棚卸し」し、それを組み直した6編からなる。

 以下、細かく見てみよう。

 「総則」編では、災害関連死の防止義務をはじめ、被災者の個別事情に応じた配慮と支援、柔軟な対応の必要性、権利の保障、生活再建に向けた自己決定権の尊重と支援への参画など、基本的な理念と方針を規定している。

 「応急救助」編では、避難所だけでなく多様な居住拠点も対象として生活環境の確保をうたった。

 「生活保障・生活再建」編では、現状より支援を拡充することを目指して、亡くなった被災者の遺族や障害を負った被災者への給付、住宅の修理や家財購入、本格的な住宅再建と新規購入への各種支援、収入の減少への補塡(ほてん)といった現金給付のメニューを列記した。

 「情報提供・相談業務・個人情報」編では、物資や資金とともに「情報」を被災者に提供し、相談に応じることが不可欠であると強調し、個々人の事情に応じた支援を行う「災害ケースマネジメント」の土台とすることを掲げた。

拡大Andrii Yalanskyi/shutterstock.com

参画と監視のための制度設計も

 参画と監視のための具体的な制度設計にも踏み込んでいる。

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筆者

田中雄一郎

田中雄一郎(たなか・ゆういちろう) 論説副主幹

1964年、兵庫県明石市生まれ。87年、朝日新聞社入社。三重県・津、愛知県・豊橋の両支局、東京、名古屋、福岡、大阪の各経済部で記者。2011年から論説委員(東京)、18年から論説副主幹(大阪駐在)。税・財政などの経済政策や民間の各業界を担当したほか、NPOなどによる市民活動についても取材。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです