2020年03月20日
1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災では死者6,434人、行方不明者3人の犠牲者を出した。死因の多くは、震度7の揺れによる家屋倒壊にあり、強い揺れから国民の命を守るには家屋の耐震化しかないことが明らかとなった。
このため、同年12月に建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)が制定された。その後の多くの被害地震や、切迫する首都直下地震や南海トラフ地震を前に、耐震化の重要性は益々高まっている。
家屋が倒壊すると、圧死やけがをすることに加え、火災の延焼危険度が増し、津波からの避難も困難になるため、何としても耐震化を進める必要がある。このため、2016年に閣議決定された住生活基本計画では、2020年までに少なくとも耐震化率を95%に、2025年までには耐震性が不十分な住宅をおおむね解消することを目標に設定した。
戸建て住宅に多い小規模木造住宅の設計では、構造計算は行われず、床面積に応じて必要な筋交などを入れる壁量規定が採用されている。壁量は、地震被害を受ける中、徐々に強化されてきた。
たとえば、重い屋根の2階建て家屋の1階の壁量は、建築基準法が制定された1950年には16cm/m2だったが、1959年に1.5倍の24cm/m2、新耐震設計法が導入された1981年に33cm/m2と、当初に比べ倍増した。さらに、性能規定化が行われた2000年以降は、地耐力に応じて杭基礎やべた基礎を採用することが義務化され、接合部の継手や仕口の仕様が定められ、バランスの良い耐力壁配置が必要になった。この結果、木造住宅は、1950年、1959年、1981年、2000年を境に、耐震性に明確な差がある。
21世紀に入って中央省庁の再編があり、新設された内閣府に中央防災会議が移管され、東海地震や東南海・南海地震に対する対策が加速化した。それに伴い、2003年に東海地震、東南海・南海地震の地震防災戦略が策定され、当時75%だった耐震化率を2018年までに90%にする目標が掲げられた。
2003年当時、日本の住宅総数は4700万戸で耐震性が不十分な住宅は25%の1150万戸だった。そのうち戸建て住宅が2450万戸を占め耐震性が不足する住宅が1000万戸あった。耐震性の不足する住宅の多くが戸建て住宅だったため、特に木造住宅の耐震化が最重要課題となった。計画では、年間の建て替え40万戸、耐震改修5万戸と見積もって、毎年1%ずつ改善し、2018年に耐震化率90%を達成できると考えた。
その後、2011年東日本大震災を受けて、南海トラフ地震防災対策推進基本計画が2013年に策定され、耐震化率を2015年までに90%、2020年までに95%にすると、目標が引き上げられた。これを受けて閣議決定されたのが住生活基本計画である。
国土交通省によると、2018年度末時点の耐震診断の実績累積は123万戸、耐震改修の実績累積は27万4千戸である。このうち
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