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[39]緊急提言:コロナ対策は「自宅格差」を踏まえよ

感染も貧困も拡大させない対策を

稲葉剛 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科特任准教授

1.「自宅」の住環境によって家庭内での感染リスクが高まる危険性がある

 厚生労働省は家庭内に感染が疑われる人がいるときの注意事項として、部屋を分けること、世話をする人を限定すること、マスクを付けること、定期的に換気すること等、8つのポイントを公表している。

 しかし、民間賃貸住宅で暮らす低所得者の場合、部屋を分けること自体が難しい場合が多い。

 例えば、東京都内で二人暮らしをしている生活保護世帯に認められる家賃の上限額は、かつては69,800円であったが、2015年の住宅扶助基準引き下げにより現在は64,000円となっている。

 都内でも地域にもよって状況は異なるが、この金額ではワンルームしか借りられない地域も多い。とても家庭内感染を抑えることは不可能な住環境である。

 専門家会議も家庭内の感染リスクについては承知をしており、軽症者や無症状の陽性者の「自宅療養」を勧めつつも、家庭内の感染リスクが高い場合には「症状が軽い陽性者等が宿泊施設等での療養を行うこと」や「同居家族が受診した上で一時的に別の場所に滞在すること」といった取り組みが必要だとしている。

 住宅事情を考えると、特に大都市部で、「自宅」以外で療養できる場を作ることが求められている。

 大阪府はすでに患者を振り分けた上で、軽症者向けには稼働していない病棟やホテルを借り上げて療養スペースとして活用するという方針を発表している。

 東京や横浜などの大都市の自治体も、この「大阪方式」を見習い、「自宅」だけに頼らない仕組みを作る必要があるだろう。

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筆者

稲葉剛

稲葉剛(いなば・つよし) 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科特任准教授

一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事。住まいの貧困に取り組むネットワーク世話人。生活保護問題対策全国会議幹事。 1969年広島県生まれ。1994年より路上生活者の支援活動に関わる。2001年、自立生活サポートセンター・もやいを設立。幅広い生活困窮者への相談・支援活動を展開し、2014年まで理事長を務める。2014年、つくろい東京ファンドを設立し、空き家を活用した低所得者への住宅支援事業に取り組む。著書に『貧困の現場から社会を変える』(堀之内出版)、『鵺の鳴く夜を正しく恐れるために』(エディマン/新宿書房)、『生活保護から考える』(岩波新書)等。

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