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2021年WBCと東京オリンピックの野球代表は別の選手を選べ

WBC28人とオリンピック24人を独断で選出する

小関順二 スポーツライター

 7月24日の開催が予定されていた東京オリンピック、8月25日に開催予定だったパラリンピックが新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)への配慮から来年夏に延期されることが決まった。この決定を受けて今季のプロ野球がどのように行われるのか、また来年以降に開催されるオリンピックやWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)にどのような影響を与えるのか考えてみたい。

 プロ野球は当初、4月24日の開催を目指していた。もしこの日の開催が実現できれば、それまでの失われた試合数は昨年実績でセ・リーグ63試合、パ・リーグ62試合。これは大きな損失だが、オリンピックの開催が来年に延期されたため、両リーグとも中断が決まっていた24日分(7/21~8/13)を損失分に補填できる。この24日間の試合数が昨年実績でセは63試合、パは59試合である。CS(クライマックスシリーズ)の廃止など考えなくても十分に日程を消化できる計算だったことがわかる。

 4月24日開催はこれらの数字をもとに考えられた日程だと思うがこれも再延期が決まり、斉藤惇NPB(日本野球機構)コミッショナーは「4月下旬、5月上旬に日程を決められないかなと思っている」と弱気な言葉を洩らしているが、新型コロナウイルスの猛威が終息に向かわなければこれだって絵に描いた餅で、6月開幕という声もある。

斉藤惇・NPBコミッショナー(左)はプロ野球の開幕で難しい決断を迫られる斉藤惇・NPBコミッショナー(左)はプロ野球をいつ開幕するか難しい決断を迫られる

WBCから4カ月後のオリンピック、難しいコンディション作り

 さらに大きな問題は、来春に控えるWBCが3月、来夏に予定されているオリンピックが7月に行われるという日程である。両大会がわずか4カ月という短い期間の中で行われるということは、両大会に出場する代表選手はコンディション作りに多大な難渋を伴うということである。

2019年の国際大会「プレミア12」では初優勝した日本。予定通りなら来年は3月にWBCの後、4カ月後には東京オリンピックを戦わなければならない2019年の国際大会「プレミア12」では初優勝した日本。予定通りなら来年は3月にWBCの後、4カ月後には東京オリンピックを戦わなければならない

 WBCの代表選手は毎回、ペナントレースの開幕より2週間早くピークを作らなければならない。これが代表選手の成績低下の原因と言われているのだが、もしWBCの代表選手が4カ月後のオリンピックにも出場すれば今度はシーズン中にオリンピックに合わせて体調を整えていかなければならない。選手同様に球団の負担も大きくなるということである。

 WBCはファンの注目度が高く、隣国の韓国などは準優勝した2009年、ペナントレースの観客動員で新記録を達成している。日本でも同様に国際大会の重要度は年々増していて、05年以降、観客動員数が右肩上がりで伸びているのは前年の球界再編騒動の影響もあるが06、09年のWBC2連覇など国際大会での活躍が大きいと思う。

 それでもNPB内部では「プロ野球にとって最も重要なのはペナントレース」という意見が根強くあり、有力選手の代表選出を歓迎していないMLBも同じ考えだろう。この国際大会と国内リーグを秤にかけて導き出される答えは1つしかない。

 「WBCとオリンピックの代表は別の選手を選ばなければならない」

 それらを考え併せてWBCの28人とオリンピックの24人を独断で選出した。

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