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コロナ緊急対策、政府制度設計はお粗末 「子どもの貧困」危機に拍車

こぼれ落ちる困窮世帯が続出。給付金と児童手当の改善を急げ

小河光治 公益財団法人「あすのば」代表理事

現金給付、希望者は昨年の2倍

 実際、ニーズの高さに驚いた。

「支給も早めていただき、コロナの影響で生活も苦しい中、大変助かりました。うちは今年度、卒業・入学が3人も重なり非常に困難な時期となってしまいましたが、給付金のおかげで入学準備をさせていただくことができました。行政からの就学援助も中学生までしか受けられず、高卒・中卒の子どもがいるので本当に助かります。『お金が稼げない親が悪い、もっと働かないから悪い』という風潮の中、厳しい現状をやさしく受け止め、あたたかい手を差し延べてくださったみなさまには本当に感謝の言葉しかありません」

 このようなメールやお手紙をたくさんいただき、身の引き締まる思いでいる。

「入学・新生活応援給付金」を届けた家庭から、「あすのば」に寄せられた手紙(筆者提供)拡大「入学・新生活応援給付金」を届けた家庭から、「あすのば」に寄せられた手紙(筆者提供)
 しかし、今年度の申し込みは昨年の2倍の5000人を超えた。多くのみなさまのご寄付を頼りに、定員を430人分拡大できたが、希望する方々の半数以上に届けることができなかった。

 この事業の目的は、とりわけお金が必要となる新年度前に、現金給付のニーズと効果を実績に基づいて社会に訴え、行政の施策の拡充につなげることにある。

 私たちは2017年、給付金を利用した1500人へのアンケート調査を実施。住民税非課税世帯や生活保護世帯、社会的な養護のもとで暮らす子どもとその保護者の、厳しい生活実態が浮き彫りになった。

「貯金ゼロ」が半数、一家の生活費のため働く子どもたち

 「年収300万円未満」の世帯が86パーセントを占め、「貯金ゼロ」は52パーセントにのぼった。高校1年生の3人に1人は入学から半年の間にアルバイトを始めており、その使途は、「学校の費用」が33パーセント、「家庭の生活費」が15パーセントを占めた。保護者の41パーセントは、健康状態がよくない状況だった。

あすのばの「入学・新生活応援給付金」を利用した1500人を対象にした生活実態調査を、市民団体や記者、議員に向けて発表した=2018年2月、衆院議員会館(筆者提供)拡大あすのばの「入学・新生活応援給付金」を利用した1500人を対象にした生活実態調査を、市民団体や記者、議員に向けて発表した=2018年2月、衆院議員会館(筆者提供)
 これらの経験から、私は、子どもの貧困の急激な悪化をくい止めるには、休業補償に加えて、十分な現金給付を含む手厚い施策の早期実施が不可欠だと確信する。

 その立場から、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて政府が決定した緊急経済対策のうち、子どもの貧困に深くかかわる部分を見てみたい。

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筆者

小河光治

小河光治(おがわ・こうじ) 公益財団法人「あすのば」代表理事

1965年愛知県小牧市生まれ。明治大学卒業後、あしなが育英会に26年間勤務し、阪神・淡路大震災遺児の心のケアのための神戸レインボーハウス館長、子どもの貧困担当などを務めた。2015年3月、福島大学大学院地域政策科学研究科修了。同年6月、子どもの貧困対策センター「一般財団法人あすのば」を設立。16年4月、「公益財団法人あすのば」 に移行。内閣府「子どもの貧困対策に関する検討会」構成員(2014年)、内閣府「休眠預金等活用審議会」専門委員主査代理(17年~)、文部科学省「高校生等への修学支援に関する協力者会議」委員(17年~)。滋賀の縁創造実践センター・社会福祉法人滋賀県社会福祉協議会理事(19年~)。 Facebook:公益財団法人あすのば

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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