コロナ緊急対策、政府制度設計はお粗末 「子どもの貧困」危機に拍車
こぼれ落ちる困窮世帯が続出。給付金と児童手当の改善を急げ
小河光治 公益財団法人「あすのば」代表理事
政府の対策「あてにできる」のか

緊急事態宣言を出した後、NHKの報道番組に出演した安倍晋三首相=4月7日、テレビ画面から
こうした施策は、きめ細かく速やかに実施され、だれひとりとして進学断念や中退に追い込まれないようにしなくてはいけない。政府には、十分な金額が、本当に必要としている人に、確実に届けられるよう、制度設計に努めてもらいたい。
現在の対策の内容は、まだまだあいまいで、困窮するみなさんにとって、自分たちが本当に対象になるのかどうか分かれないままなのだ。日々、ぎりぎりの生活に追われる家庭にとっては、確実に届くと信じられること、つまり、「あてにできる」ことが、明日の希望につながる。
早く支給されることはもちろん大切だが、拙速に陥らず、丁寧に仕組みを整える必要を、現場では感じている。
申請主義がネック 既存制度への上乗せ給付を

ひとり親家庭や児童養護施設などで育った経験がある小中学生のための合宿キャンプ。自然体験や野外活動を、初めて経験する子も少なくない(筆者提供)
生活困窮世帯への支援において、とりわけ留意すべき点がある。外国籍の人や、病気・障害を抱える親も少なくない。こうした場合、申請主義が大きなネックになる。
だからこそ、既存制度の児童手当や高校生等奨学給付金に上乗せ給付する手法にするべきなのだ。手続きの必要なく、対象者がもれなく給付金を受け取ることができるのである。
どうしても申請が必要な場合でも、その制度をわかりやすく対象者全員に伝え、できる限り簡単な手続きで、インターネットや郵送などでも受け付けられるよう配慮してほしい。
死をも考える日々 放置してはならない
「あすのば」の給付金利用者への調査では、自由回答欄の大半に小さな文字で訴えが綴られている。
高校1年生の女子がこう書いた。
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