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緊急事態宣言下の東京で「住まい」を失う人々へ何が必要か?(上)

ポストコロナのレジリエントな都市へ「住まい」のあり方を再考する

北畠拓也 デモクラティック・デザイナー

なぜ日本の住まいへの支援は脆弱なのか

 日本では「ホームレス」を次のように定義している。

 「都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場所とし、日常生活を営んでいる者」(ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法)

 つまり「路上生活者」とか「野宿者」とよばれる人々のことで、多くの人のイメージする「ホームレス」像のそれである。しかし、国際的に見ればこれは最も狭い範囲の定義となっている。欧米などの多くの先進国(都市)では、「home(住まい)」が失われている状態、すなわち前述の②のような不安定居住層も「homeless」状態に含まれる。

各国の法的定義または政策において慣習的に用いられる「ホームレス」の範囲(黄色の網掛け部分)拡大各国の法的定義または政策において慣習的に用いられる「ホームレス」の範囲(黄色の網掛け部分)

 こうした層の人々は、日本ではそもそもホームレスとして定義されていないため、実態調査も十分行われておらず、そのため「住まい」を提供するという点では十分な施策も用意されていない (注5)。先述の住居喪失不安定就労者の調査は単発でしか行われていないが、2016年の都による調査では実に4000人にのぼると推計されている。

 雑駁に言えば日本では(B)路上生活から(A)不安定居住になっただけでもう「ホームレス」ではないため、住まいの支援をすべき対象ではなくなるということになる。結果として、こうした不安定居住層の生活拠点の受け皿として、ネットカフェのような商業施設に依存する形となっている。これは構造的な問題であり、もちろんネットカフェなどの商業施設が悪いわけではない。現に、今回の緊急事態宣言を受けても、長期滞在している利用者を慮って営業停止に踏み切れないでいる店舗もあると聞く。

 また、こうした不安定居住層の人々はもともと福祉的な支援への距離も遠いためか、行政からは捕捉するのが難しい「インビジブルな(見えない)人々」だと言えるかもしれない。

 それでは、インビジブルな人々すなわち (A)不安定居住層の人々に対する「住まい」の支援として、具体的に何が

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筆者

北畠拓也

北畠拓也(きたばたけたくや) デモクラティック・デザイナー

1990年埼玉県生まれ。デモクラティック・デザインしゃりんの唄を主宰。東京工業大学環境・社会理工学院後期博士課程(休学中)。参加型まちづくりの実践や調査研究、アドボカシーに取り組む。2015年から18年まで市民団体ARCHの共同代表を務め、市民参加による夜間路上ホームレス調査「ストリートカウント」などホームレス問題の調査研究啓発に取り組む。2019年独立。 Web: https://www.sharin.work/  twitter: https://twitter.com/tkita_sharin  note: https://note.com/ddsharinnouta

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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