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緊急事態宣言下で、学生と学問を守る「4つの提言」

「大学の危機」をどう乗り越えるか、渦中からの訴え(下)

田中駿介 東京大学大学院総合文化研究科 国際社会科学専攻

臨時休業中のコーヒーショップの店舗。2020年4月17日、東京都千代田区臨時休業中のコーヒーショップの店舗。2020年4月17日、東京都千代田区

 大学が、危機に瀕している。新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、今まで、多くの人が直視してこなかった「格差」が、一気に露呈したのである。本稿では、(上)を公開した4月11日以降の状況の変化も報告しながら、学生と学問を守り、問題解決を図るための提言を行いたい。

WiFiカフェは閉店、お金がもたない……宣言の余波

 (上)を公開した時点と比して、学生をとりまく情勢は大きく変化した。

 そのひとつが、「緊急事態宣言」を受けて、ほとんどのカフェ・飲食店などが閉店を余儀なくされていることである。

 オンライン授業を、WiFiのあるカフェやコンビニのイートインスペースで受講する選択肢は、ほぼ消えてしまった。当初は、自宅にWiFiがないと、自宅外で受講するのにお金がかかるうえに、快適な学習環境が確保できないことが懸念されていた。だが、今や文字通り「詰む」ことになったのだ。

 それだけではない。あらゆる業種でアルバイトが「休業」状態に追い込まれた。筆者の周囲からも悲痛な声が聞こえてくる。

 「貯金を崩して、生活しています。このままでは、5月までしかお金はもたない」

 都内の女子大に通うある学生は、ガールズバーで働きながら、家賃や食費を含む生活費を捻出しているという。学費のみ親が負担しているというが、生活費に充てられる仕送りはない。しかし、「緊急事態宣言」を受けてバイト先は閉店し、収入はゼロになったという。しかも自宅にはWiFi設備はないのに、用意するよう大学から一方的に告知されたそうだ。

 「マスク2枚もらっても、何になる」と話す彼女は、「要請するなら補償しろ」と政府に訴えるデモに参加した。夜の街で働く同世代の友人の呼びかけに共感したからだ。しかし、いまだに世間的には、夜職へのイメージは決して良くはない。東京都が地下鉄の駅などに掲示するポスターでも、通勤電車の危険性には触れられていない一方、「夜の街での集団感染」への注意喚起がされている。

 「ネットをみても、自己責任論の非難の矛先が私たちに向いているのが、本当に悲しい」

 まだ上京1年目の彼女は、そう嘆いている。

「夜の街での集団感染が多く発生しています」として外出自粛を求める東京都の呼びかけ「夜の街での集団感染が多く発生しています」として外出自粛を求める東京都の呼びかけ

「アルバイトの自粛を」という短大も

 北海道の、ある短大に通う女子学生も悲痛な声を上げる。

 彼女の場合は、実家暮らしだが、学費をアルバイトで賄っているという。アルバイトをしている飲食店は実質「開店休業」状態で、しかも親も仕事が減っている。そんななか、学校のガイダンスで通知されたのが、「アルバイトを自粛してください」という要請である。

 このままでは、学費を払えなくなる。しかし、ゼミの先生に相談をしても十分に取り合ってはくれなかった。

 「勉強をしたくなくて、アルバイトをしたいと言っているわけではない。苦しい状況を理解してくれない」と彼女は憤る。

アルバイトの自粛を求める短大からの通知アルバイトの自粛を求める短大からの通知

「20万円分」損してしまった

 政府は、減収世帯に30万円を給付する方針を打ち出し、のちに1人10万円の給付に転じた。

 この「30万円給付」は、その対象が狭いという指摘があったが、本稿の主題とそれるので詳しくは立ち入らない。ところで、あまり報道では指摘されていないが、一人暮らしをしている学生が世帯主となっている場合、多くはこの条件を満たす可能性があった。

 ただし、そこにも「落とし穴」がある。

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