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緊急事態宣言下で、学生と学問を守る「4つの提言」

「大学の危機」をどう乗り越えるか、渦中からの訴え(下)

田中駿介 東京大学大学院総合文化研究科 国際社会科学専攻

「アルバイトの自粛を」という短大も

 北海道の、ある短大に通う女子学生も悲痛な声を上げる。

 彼女の場合は、実家暮らしだが、学費をアルバイトで賄っているという。アルバイトをしている飲食店は実質「開店休業」状態で、しかも親も仕事が減っている。そんななか、学校のガイダンスで通知されたのが、「アルバイトを自粛してください」という要請である。

 このままでは、学費を払えなくなる。しかし、ゼミの先生に相談をしても十分に取り合ってはくれなかった。

 「勉強をしたくなくて、アルバイトをしたいと言っているわけではない。苦しい状況を理解してくれない」と彼女は憤る。

アルバイトの自粛を求める短大からの通知拡大アルバイトの自粛を求める短大からの通知

「20万円分」損してしまった

 政府は、減収世帯に30万円を給付する方針を打ち出し、のちに1人10万円の給付に転じた。

 この「30万円給付」は、その対象が狭いという指摘があったが、本稿の主題とそれるので詳しくは立ち入らない。ところで、あまり報道では指摘されていないが、一人暮らしをしている学生が世帯主となっている場合、多くはこの条件を満たす可能性があった。

 ただし、そこにも「落とし穴」がある。

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筆者

田中駿介

田中駿介(たなかしゅんすけ) 東京大学大学院総合文化研究科 国際社会科学専攻

1997年、北海道旭川市生まれ。かつて「土人部落」と呼ばれた地で中学時代を過ごし、社会問題に目覚める。高校時代、政治について考える勉強合宿を企画。専攻は政治学。慶大「小泉信三賞」、中央公論論文賞・優秀賞を受賞。twitter: @tanakashunsuk

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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