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新型コロナ禍の難局克服に権力はどう行使されるべきか

国家による公衆衛生と人権とがぶつかる時に権力は……。カギは透明性確保と説明責任か

徳山喜雄 ジャーナリスト、立正大学教授(ジャーナリズム論、写真論)

気になった小池都知事の独断的な発言

 健康のためなら、少々の不自由は我慢しなければ、と考えがちだ。欧米の政治思想に詳しい金沢大学法学類教授の仲正昌樹氏は次のように説明する。

 「気を付けるべきは、対応策がエスカレートすることです。私たちは健康の話となると、政府が進める公衆衛生政策をさほど抵抗なく受け入れがちです。外交・安保といった、いかにもイデオロギーが絡みそうな政策に比べ、人々は権力に統治されやすくなる」(朝日4月2日朝刊)

 「(管理システムが定着すれば)人々はいつの間にか『これが普通だ』と思い始める。人間は誰しも『普通』から逸脱し、異常扱いされるのは嫌いです。こうして、権力から強く促されなくても、自分で自分を無意識に統制するようになります」(同)

 都内の感染者が増加しはじめた3月下旬の小池百合子・東京都知事の、政治ショーともとれる独断的な発言が気になった。記者会見で「ロックダウン(都市封鎖)など強力な措置を取らざるを得ない状況がでてくる」といい、「ロックダウン」を連発した。「緊急事態宣言」イコール「ロックダウン」とする見方が広まり、スーパーなどに買い物客が殺到した。

 しかし、日本の法律ではそもそも欧米のような本格的な都市封鎖はできない。

高みからではなく国民と同じ目線で

 小池知事が高みから都民や国民を見下ろすように記者会見し、「ロックダウン」の恐怖を煽(あお)った姿勢は、政治家としていかがなものか。報道もこうした発言を垂れ流すだけでなく、異を唱えるべきでなかったか。

 ドイツのメルケル首相が3月にテレビ演説した際、

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筆者

徳山喜雄

徳山喜雄(とくやま・よしお) ジャーナリスト、立正大学教授(ジャーナリズム論、写真論)

1958年大阪生まれ、関西大学法学部卒業。84年朝日新聞入社。写真部次長、アエラ・フォト・ディレクター、ジャーナリスト学校主任研究員などを経て、2016年に退社。新聞社時代は、ベルリンの壁崩壊など一連の東欧革命やソ連邦解体、中国、北朝鮮など共産圏の取材が多かった。著書に『新聞の嘘を見抜く』(平凡社)、『「朝日新聞」問題』『安倍官邸と新聞』(いずれも集英社)、『原爆と写真』(御茶の水書房)、共著に『新聞と戦争』(朝日新聞出版)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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