桑満おさむ(くわみつ・おさむ) 医師・五本木クリニック院長
1986年、横浜市立大学医学部卒業。横浜市立大学医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年2月、東京都目黒区に五本木クリニック開院。著書に『“意識高い系"がハマる「ニセ医学」が危ない!』(扶桑社)。ブログは「五本木クリニック院長ブログ」。
※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです
「心配だから」「念の為に」で大量の偽陰性者・偽陽性者が生み出される
先日、楽天が新型コロナウイルスを検出する検査キットを法人向けに販売することが報じられ、医師である筆者は驚愕している。PCR検査の性質や特徴が、多くの人に理解されていない現状があるのではないだろうか。
多くの国民が不自由であると感じている、新型コロナウイルス対策の一つが「外出自粛要請」であろう。外出自粛要請は新型コロナウイルスの市中における感染拡大を防ぐことが大きな目的であるが、それは医療崩壊を防ぐ手段でもある。
日本は他国と比較して、今回のコロナ禍の当初よりPCR検査実施数の少なさが指摘されていた。PCR検査は医療の現場で頻用される信頼度の高い検査ではあるが、偽陽性・偽陰性という問題がある。
偽陽性は実際にその病気に罹患していないのに、罹患していると判定されること。一方の偽陰性はその病気に罹患しているのに、罹患していないと判定されることである。
検査には「感度」と「特異度」がある。感度はある病気に罹患しているもののうち、どのくらいの確率で陽性であるかを表す数字である。特異度はある病気に罹患していないもののうち、どのくらいの確率で陰性であるかを表す数字である。
現在、日本においてどのくらいの率で新型コロナウイルスが蔓延しているかの正確な数字は不明である。
慶応大学病院は無症状で他の病気で入院した者のうち、約6%が新型コロナウイルスに感染していたことが公表された(慶応義塾大学病院「新型コロナウイルス感染症に関する当院の状況について」)。
偽陽性・偽陰性・感度・特異度の定義を再確認しながら、楽天が販売するPCR検査キットの危うさをお伝えする。
論座ではこんな記事も人気です。もう読みましたか?