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アートシーンに起きている三つの兆候

コロナ時代を生き抜く、アーティスト的生き方

電通「美術回路」 若林宏保・東成樹

A 作家や学芸員との、ダイレクト・アクセス

 今まで作家や学芸員の考えを知る機会は限られていたが、オンライン配信を通じて、彼らの思考に直接触れられる機会が増えている。森美術館では3月5日、インスタライブを活用し、元館長の南條史生氏が「未来と芸術展」を解説した。

「未来と芸術展」インスタライブ featuring 南條史生=YouTubeの「Mori Art Museum 森美術館」チャンネル

 生配信へのコメントには「美術館に行けないので、ありがたい」「難しかったから、解説が聞けて嬉しい」など、たくさんの好意的なコメントが寄せられた。アーカイブは4月27日現在、4.7万回再生されている。

 またRhizomatiks主催のオンラインイベント「Staying TOKYO」では4月24日、キュレーターの長谷川祐子氏と作家のオラファー・エリアソンがアートを取り巻く現在の状況について対話した。

 現代アートは、作品が引き起こす会話を味わうのが醍醐味だ。オンライン配信の活用により、私たちは作家たちの思考にダイレクトにアクセスできるようになっている。今後は、彼らの配信が増え、観客との距離がどんどん近づいていくのではないか。

B 自宅で展覧会

 世界トップキュレーターのハンス・ウルリッヒ・オブリスト氏は現在、インスタグラムで「#doit」(やってみよ)というハッシュタグのもと、様々なアート作品を紹介している。一連の作品は「インストラクション・アート」の一種で、作家からあなたへの「指示」が書かれている。見た人が各自、それを実行するという参加型の作品だ。

美術回路拡大様々な作家のインストラクション・アートがインスタグラムに投稿されている

 たとえばこの投稿では「実現不可能な何かを考え、実行プランを練り、やってみよ」というリン・ハーシュマンの指示を紹介している。

 ハッシュタグにもなっている“do it”は、オブリスト、クリスチャン・ボルタンスキー、ベルトラン・ラヴィエの会話から1993年に生まれたアートプロジェクト。作家たちの指示書をもとに、美術館スタッフが自身の解釈で展示をつくりあげるため、一つとして同じ展示にはならない。世界中で展開されてきたが、今度は私たちの家がその舞台となった。

 このほかに世界中の名画のイメージを持つGoogle Arts & Cultureのアプリは、家の中での名画鑑賞を可能にする。

美術回路拡大アプリのArt Projector機能を使えば、自室に作品を展示できる=著者のスマートフォンより

 アプリを使うとスマホの画面上に作品が現れ、まるで自分の部屋の壁に名画が飾られているようだ。さらにこのアプリでは、下記で紹介するように美術館内を見て回ることもできる。

C オンラインでの鑑賞と購入

 Google Arts & Cultureアプリでは、オルセー美術館やグッゲンハイム美術館をはじめとした世界中の美術館内をストリートビューで見ることができる。観客動線からとらえた360度の写真を通じて、名画を好きなだけ鑑賞することが可能だ。

 また、イギリスのHastings Contemporaryでは「ロボットツアー」を行なっている。カメラを搭載したロボットがギャラリー内を動き、解説がリモートで聞ける。

 このほか国内ではアートフェア東京が、実イベントは中止になったものの、5月9日までオンライン上で作品を見て買うことができるAFT Art Huntingを実施している。

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