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続々と再開する各国スポーツは、トンネルの出口を照らすか

増島みどり スポーツライター

長引く活動休止で、選手のコンディションに深刻な不安も

 感染者数の地域ごとの違いも鮮明となり、Jリーグは今後、一斉スタートではなく56クラブの地域性を念頭に、試合方式の変更を検討する可能性を探るかもしれない。2月以来すでに3カ月になろうとする長い期間、トップ選手たちが活動を休止した状態は誰一人経験したことのない困難だ。

 J1通算最多となる185得点をあげ、今季東京ヴェルディに移籍した37歳のベテランストライカー・大久保嘉人は、取材に対して率直な言葉で思いをこう明かす。

 「1人でトレーニングを続けるのは正直、もう限界に来ていると思う。やはりキツイのはメンタル。プロとして妥協せず、自分を追い込んでみんな努力していると思う。再開したら90分走り切るためにと思っているが、休止がさらに長引いて、体のほうもどうなっていくのか分からない」

 MFなら1試合で約10㌔の距離を走り、体重も夏場は1試合で3㌔も減少する激しいコンタクトスポーツゆえに、誰もが、自分のコンディションを計れずにいる。若手とベテランでは、休止期間中の1日、1日の重みも異なる。

 浦和のGK西川周作(33)は、「ベテランにとっては、今後(遅れを取り戻すために)試合日程が詰まれば体力面で厳しくなるし、今季降格はないので、思い切って若手を起用しようという流れも生まれるかもしれない。再開が決まったら、先ずはその日を目指して調整するしかない」と、やはり日々苦しくなっていくコンディションの維持についてオンラインの会見で吐露した。

 村井満チェアマン(60)は今後、こうした未経験の苦境で踏ん張る選手たちのコンディション、メンタルケアにもさらなるサポートの拡充を行うとする。

 専門家会議のメンバーから、「スムーズな再開のためにも、選手が不安や疑問を直接質問できるホットラインを設置してはどうか」と提案されたという。すでに設置済みの「メンタルヘルスケア」の相談窓口も活用し、各クラブ全選手に対して細かいアンケートを実施したうえで、窓口別に話が聞けるような方法で選手への対応を検討する。

 「休止期間がこれだけ長引けば、調整はプロとして当然、と、するような選手頼みではいけないと思う。漠然と、このままサッカーが続けられるのかといった不安や、ウイルス対策や、クラブ経営への心配もある。今後再開への道筋には、選手のサポートが重要になる」

 チェアマンはそう話す。

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筆者

増島みどり

増島みどり(ますじま・みどり) スポーツライター

1961年生まれ。学習院大卒。84年、日刊スポーツ新聞に入社、アマチュアスポーツ、プロ野球・巨人、サッカーなどを担当し、97年からフリー。88年のソウルを皮切りに夏季、冬季の五輪やサッカーW杯、各競技の世界選手権を現地で取材。98年W杯フランス大会に出場した代表選手のインタビューをまとめた『6月の軌跡』(ミズノスポーツライター賞)、中田英寿のドキュメント『In his Times』、近著の『ゆだねて束ねる――ザッケローニの仕事』など著書多数。

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