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宗教不毛の社会で「あの世」を信じる人が増加中

武田徹 評論家

ネットで料金を支払い、お坊さんを呼ぶ

 機械式納骨堂がハードウェアの葬儀革命なのに対してソフトの革新の受け皿が永代供養墓である。

 「平成元年(1989)にすがも平和霊苑がもやいの碑、新潟の妙光寺が安穏廟をそれぞれ別々に始めましたが、申し込みが殺到して他のお寺もだんだん永代供養墓を作るようになりました。やはり少子化の影響は大きくて子供がいない人が増えている。彼らは墓を買いたくても子どもがいないので無縁墓になると言われ、断られることが多かったんですね」

 ただ、ここも商売は厳しくて場所が悪い、募集に対する考えが甘いなどの理由で永代供養墓の7割は元が取れていないのではないかと薄井は言う。

 勝ち組と負け組が分かれつつある。それはエンディング産業界全般の実情だ。象徴的だったのが2009年のイオンによる葬儀ビジネスへの参入だった。死亡者数は増えているので全国をカバーするチェーン展開ができればビジネスチャンスは確実に増える。大手流通の葬儀ビジネス参入はそうした勝利の方程式に基づいている。

 そしてイオンは新規参入らしく因習に縛られなかった。衝撃的に価格破壊したうえでその費用を明示したのだ。イオンが「火葬式」と呼ぶ直葬は19万8000円(当時)。これが、葬儀を出した経験がなく、いくらかかるか分からないという不安を感じていた都市民にヒットした。そしてイオンでは通夜、告別式をセットにした家族葬もメニューも載せた。

家族葬専門の葬儀場。リビングや和室、風呂も備えている=2018年8月29日、長野市拡大家族葬専門の葬儀場。リビングや和室、風呂も備えている=長野市

 しかしここでは地雷を踏む。というのも直葬ならよいが、葬式を行うと僧侶に経を唱えてもらわないといけない。そこで

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筆者

武田徹

武田徹(たけだ・とおる) 評論家

評論家。1958年生まれ。国際基督教大大学院比較文化専攻博士課程修了。ジャーナリストとして活動し、東大先端科学技術研究センター特任教授、恵泉女学園大人文学部教授を経て、17年4月から専修大文学部ジャーナリズム学科教授。専門はメディア社会論、共同体論、産業社会論。著書に『偽満州国論』、『流行人類学クロニクル』(サントリー学芸賞)、『「核」論――鉄腕アトムと原発事故のあいだ』『戦争報道』、『NHK問題』など。

 

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