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休校中の子どもたちは本当に学んでいないのか?

「自由」の中で不自由な子どもたち

鈴木大裕 教育研究者 土佐町議会議員

「学びを止めない!」という空っぽなスローガン

 今、コロナ休校に対して教育現場はどのように対応したら良いか、活発な議論が交わされているが、正直どれも私にはピンとこない。「学びを止めない!」という反論のしようのない空っぽなスローガンの下、オンライン授業や宿題によって学びを提供すべきと主張する者もいるが、問うべきはこれまでの「学び」そのものだろう。

 人に魚を与えればその人は一日生き延びることができるが、人に魚の釣り方を教えればその人は一生生きていくことができる、という中国のことわざを思い出す。魚を与えるか、釣り方を教えるか…。もちろん、オンライン授業では学び方を教えられないというわけではない。ただ、学びの本質を変えずに媒体だけ変えて上から施しても意味がないということだ。

 また、夏休みや冬休みを潰して授業時間を確保しようと主張する者もいるが、せっかく多くの子どもたちが学校再開を楽しみにしているのに、そんなことをしたら逆に勉強嫌い、学校嫌いの子どもたちを大量生産してしまう。

拡大oriol san julian/Shutterstock.com

 9月入学制度という意見も出てきている。

「どうしたら子どもたちが自ら学ぶ力を育めるか?」「どうしたら彼らと学ぶ喜びを分かち合えるのか?」

 コロナで多くの学校が閉鎖されたこの機会に教育関係者らがこれらの問いと向き合い、9月に仕切り直すということなら良いが、単に時期をずらして従来の教育をやったところで意味はない。

 いずれにしても、制度や方法を語る前にそれを支える価値観を論じないから教育の本質が見えてこない。

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筆者

鈴木大裕

鈴木大裕(すずき・だいゆう) 教育研究者 土佐町議会議員

16歳で米国に留学。1997年コールゲート大学教育学部卒、1999年スタンフォード大学大学院修了(教育学修士)。日本に帰国し2002年から千葉市の公立中に英語教諭として6年半勤務。2008年に再渡米し、フルブライト奨学生としてコロンビア大学教育大学院博士課程へ。現在は高知県土佐町で教育を通した町おこしに取り組むかたわら、執筆や講演活動を行う。著書に『崩壊するアメリカの公教育:日本への警告』(岩波書店)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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