メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

地方都市はもう日常経済に戻っていい

地元企業へのダメージ対策を最優先課題に

倉沢鉄也 日鉄総研研究主幹

 コロナ禍がまだ続く中、日常動線でない見聞を語ることに批判もあろう。十分な調査ではないが、調査を生業とする者の肌感覚で、コロナ禍の一側面も述べる。

肌感覚でとらえた地方都市の風景

 筆者はこのゴールデンウィークに一部かかる数日間、首都圏を離れていくつかの地方都市を移動しながら、ある業務外活動をしていた。この目で実際に訪れた地域名を、以下のように匿名化しておく。

拡大(*1:人口は政府推計人口。*2:感染者数は5月12日現在の自治体Webページから。いずれも筆者にて概数化)

 いずれの自治体でも、中心地の風景を見、食事をした店とその周辺の風景を見、移動中の自動車から風景を見たに過ぎない。この動線で大規模著名な観光地を見ることはなかった。いわば地方都市の日常風景を目に焼きつけてきた、という総括かと思う。各地域の個別事情(医療施設の能力、コロナ対応以外の病床やスタッフの数的状況など)は把握しておらず、人口と感染者数の割合だけでは各地域の危機的具合はわからない前提で、以下記す。

 これらに限らず、地方都市の日常の風景を、筆者は年1~2回つぶさに見る機会がある。例年比で起きていることは誰の目にも明らかだが、このコロナ禍の中、首都圏勤務(都心)、在住(郊外住宅地)の筆者が抱いた感想はこうだ。

1)A市中心地も含めて、十分すぎかつ過剰な「疎」の状態。そもそもA市規模の自治体中心地と、大規模観光地を除けば、例年でも「3密」とは言いがたい風景。

2)通勤目的や買い物目的と思われる自動車交通量は、例年比それほど減ってはいない。

3)外食産業、物販店の閉鎖しすぎ。そのわりには、娯楽産業(例:カラオケ、ボーリング、温泉浴場)は意外と開店している。

4)マスク、消毒洗浄、飛沫接触を避ける対策など、全地域で十分すぎるほど。首都圏在住の日常感覚では、A市中心地以外は明らかに過剰。みなさん勤勉実直だなあと感じる。

5)以上を体験した直後、首都圏に帰ってくると、ガラガラの電車ですら身の危険を感じる「3密」具合。しかし2~3日もするとこの密具合に慣れてしまい、上記往訪の風景を思い出してはまた身の危険を思う。首都圏に住む以上は冷静な自己防衛しか打つ手はないと感じる。

 本稿執筆現在5月13日なので、今週末の15日頃にはそうした地方都市での経済活動緩和・再開が実行に移されるのだと思うが、上記の感覚だけで地方都市の実情を捉えたとき、懸念されるのは地域経済、地元企業、へのダメージだ。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

倉沢鉄也

倉沢鉄也(くらさわ・てつや) 日鉄総研研究主幹

1969年生まれ。東大法学部卒。(株)電通総研、(株)日本総合研究所を経て2014年4月より現職。専門はメディアビジネス、自動車交通のIT化。ライフスタイルの変化などが政策やビジネスに与える影響について幅広く調査研究、提言を行う。著書に『ITSビジネスの処方箋』『ITSビジネスの未来地図』など。

倉沢鉄也の記事

もっと見る