田中駿介(たなかしゅんすけ) 東京大学大学院総合文化研究科 国際社会科学専攻
1997年、北海道旭川市生まれ。かつて「土人部落」と呼ばれた地で中学時代を過ごし、社会問題に目覚める。高校時代、政治について考える勉強合宿を企画。専攻は政治学。慶大「小泉信三賞」、中央公論論文賞・優秀賞を受賞。twitter: @tanakashunsuk
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
学び方は、生徒が選ぶべきだ
以前、「大学」が危機に瀕しているという記事を発表した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、さまざまな格差が顕在化したからである。
しかしそうした憂慮すべき事態が発生しているのは大学だけではない。小中高を含む「教育界」全体に及んでいる。
本稿では、主にコロナ禍により高校生や浪人生を含む受験生が、どのような影響を受けているのかについて取り上げるとともに、問題解決を図るために「自由登校」の実現を提言したい。
現在、多くの学校で「休校措置」が行われているという。そうした状況を受け、東北地方の私立高校に通うある女子高校生は、「不安なことだらけ」と愚痴をこぼす。「普段だったら、信頼している先生に相談ができるが、休校期間中は(反りが合わない)担任としか連絡できない」
高校3年生の彼女は、推薦入試の受験を志望しており、4カ月後に受験を控えている。だからこそ、健康管理は怠らない。「なるべく、人との距離は保つようにはしています。新型コロナウイルスに感染することは本当に恐ろしいからです。隣に座っただけで濃厚接触っていわれてしまう。誰とも濃厚接触しないよう過ごしています」
感染を「不安視」しているなか、学校からは一方的に「授業を行います」という通知があった。「正直、学校に行きたくないと感じることもあります。個人的には、このままオンラインの授業を継続してほしいです」
万が一、受験生が新型コロナウイルスに感染してしまったらどうなるのだろうか。今年の2月に入試が実施された際、東京大学は以下のような「お知らせ」を受験生に通知した。「新型コロナウイルス感染症は、政令により指定感染症及び検疫感染症に指定され(…中略…)罹患者は本学の入学試験を受験できませんので、ご注意ください。なお、追試験等の特別措置は予定しておりません」
もちろん、各大学が比較的感染者が少なかった2月の時点とまったく同じ対応をするとは考えにくいだろう。とはいえ、そもそも追試が想定されていない入試の場合、仮に症状がなくても「陽性」あるいは「濃厚接触者」と認定されてしまうと、受験すらできなくなってしまう可能性がある。
富山市の小学校のように、教室が「クラスター」になってしまうと、生徒の受験・就職などキャリア形成に直接的な影響が出ることは必至である。
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