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大学病院は「最後の砦」である~東京医科歯科大 コロナ・パンデミックとの闘い

重要なのは看護師の数、清掃を担った外科医たち、これが続けば年間100億円の減収…

大川 淳 東京医科歯科大学 理事・副学長(医療・情報担当) 整形外科学教授

<治療の実際>

 新型コロナウイルス感染症の典型的病像は重篤な肺炎ですが、根治的治療ができる薬剤が目下のところないため、治療の中心は患者の呼吸状態を管理して自然回復まで待つことになります。

 肺炎が軽度のうちは酸素吸入だけですが、 重くなると人工呼吸器の使用が必要になり、さらに悪化すると人工心肺(ECMO)を装着します。この人工心肺装置は血液をいったん体外に出して、器械で酸素を血液に取り入れ、再び体内に戻す治療です。

拡大ECMOを使った治療に習熟した心臓血管外科医の存在が頼もしい
拡大

 しかし、その管理は簡単ではなく、心臓血管外科医や集中治療医など特別な経験を積んだ医師しか扱えません。新型コロナウイルス感染症による死亡者の中にはECMOであれば助けられた患者がいたかもしれませんが、普段から心臓血管外科手術などでECMOに慣れていなければそもそも使えなかったはずです。

 大学病院が新型コロナウイルス感染症の重症患者を引き受ける意義はここにあります。実際、本院では最大4台のECMOを同時に装着し、全員を生還させることができました。

 もちろん、すべての患者さんがECMOで救命できるわけではありませんが、強力な治療法であることは確かです。そのため、軽症から中等症の患者は一般病院、重症患者は大学病院というのが、医療体制として理想的です。

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筆者

大川 淳

大川 淳(おおかわ あつし) 東京医科歯科大学 理事・副学長(医療・情報担当) 整形外科学教授

1982年、東京医科歯科大学医学部卒業。九段坂病院整形外科医員、東京医科歯科大学整形外科助手、諏訪中央病院整形外科主任医長、東京医科歯科大学医学部附属病院総合診療部助教授などを経て、2011年に東京医科歯科大学大学院整形外科学教授、2016年に東京医科歯科大学医学部附属病院 病院長。2020年に東京医科歯科大学理事・副学長。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです