世界中のバレエ・ダンサーたちの映像配信、部屋から、街から、自然のなかから
2020年06月04日
〝バレエ〟は基本的には劇場の舞台で踊り、観客に観せるもの。だけど今、インターネット上にそうではない場所で踊る映像が多々配信されている。ダンサー達が暮らす部屋のなかで、集合住宅の階段で、近所の公園や海辺などの自然のなかで……。
今、芸術の動画配信に対する行政の支援が打ち出され始めているけれど、ダンサーたちの画像が目に付き始めたのは、もう少し前から。「Stay at Home」を余儀なくされるなかで、仲間うちでの近況報告のようなものをはじまりに、FacebookやInstagram上にトレーニング風景や、踊りの短い部分がアップされるようになってきていた。
バレエというのは、身体を使う芸術だから、スポーツ同様に毎日のトレーニングは欠かせない。週に1日程度休養日をつくるとしても、毎日、最低、1時間30分ほどの基礎のレッスンは必須。「一日休めば自分にわかり、二日休めば周囲にわかり、三日休めば観客にわかる」は、森下洋子さんの有名な言葉だ。
海外の主要バレエ団では、所属ダンサーの要望に応じて、自宅でトレーニングができるようにバレエに適した床材であるリノリウムを支給するなどもしているようだ。
本来ならば、基本のレッスンも、特に後半には、大きなジャンプなどをすることが理想で、ある程度の広さが必要なものだが、今、世界中のダンサーたちは、自分の部屋などの限られた空間で工夫しながらできる範囲のトレーニングを行っている。
少し動きの軸が傾こうものなら周りの家具をなぎ倒すのではないかと思うようなスペースで、真っ直ぐな軸でのトゥ・シューズのつま先立ちでコマのように回るダンサーの映像を見ていると、「やっぱりバレエダンサーはスゴい!!」と(私も一人自宅で)、叫んでしまう。
一人での動画が大半だが、なかにはピッツバーグ・バレエのJessica McCannさんと中野吉章さんのように夫婦でのパ・ド・ドゥ(二人で組んでの踊り)などをアップしてくれている例もある。
〈バレエダンサーの配信の例〉
●ピッツバーグ・バレエのJessica McCannさんと中野吉章さん
●アメリカ、ボストン・バレエの倉永美沙さんのレッスン風景(1)(2)(3)(4)
●アメリカ、木村綾乃さんのお部屋でのHIPHOPやダンサーコラボ等(1)(2)(3)(4)
自粛が長引くなか、バレエ団によっては、一つの曲を楽団が演奏しダンサーが踊る、一人ひとり(カップルの場合も)の動画を組み合わせて、映像作品にして配信するようなものも出てきていて、とても興味深い。
●サンフランシスコ・バレエ、ダンサー&オーケストラ テレワーク(倉永美沙さんなど)
●ピッツバーグ・バレエ・シアターのダンサー達(中野吉章さんなど)
一方、パリ・オペラ座やボリショイ・バレエ、英国ロイヤル・バレエといった世界の主要バレエ団は、そういったこととは別に、劇場がクローズしている間、あらゆる人が自宅に籠もらざるを得ないなかで心を豊かにしてもらおうと、過去の舞台映像を無料配信するなどしているのはご存知の方も多いのではないだろうか。
そんなさまざまな映像を楽しんでいたところ、ドイツ出身で日本でバレエ・ダンスの魅力を伝えようと活躍するエルブス・ベルントさんから日本で個性的な動画配信をしているダンサーの情報が。紹介されたのは布目紗綾さん。「バレエジャンパー」と名乗って、とても個性的な動画の数々を公開している。
秋葉原でメガネっ娘がセーラー服姿で「眠れる森の美女」のオーロラ姫を踊ったり、 シンデレラになって踊りながら感染予防対策をしたり、Tiktokでは、群馬でネギを、恋人か、はたまた〝くるみ割り人形〟か、と思えるように愛おしそうに踊ったりしている。
ちなみに布目さんこの活動は、何も今回のコロナ騒ぎからというわけではなく
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