2020年06月10日
2011年ドイツW杯で世界チャンピオンとなった女子サッカーにとって、大きな節目となる発表である。本来ならば、広い会見場にひな壇をしつらえ、何人かの選手がリーグ名をアピールしたに違いない。
WE、は「Women Empowerment」の略で、女性の活躍、社会進出、男女平等において「みんな(WE)が主人公に」との願いが込められている。教育現場でも議論がされているが、女子サッカーは21年9月スタート(22年5月まで)と、国内サッカーでも、日本のスポーツ界でもこれまでになかった「秋春シーズン制」を導入する。
現行の「なでしこリーグ」のクラブも含め、7月までプロ参加を希望するクラブを募り、10月に6~10をめどに新リーグへの参加を発表する予定。クラブは、Jリーグ発足時の理念同様地域密着で、自治体とクラブが一体となった市民のためのクラブ運営が基本理念となる。
昨年の経済フォーラム(WEF)の発表によれば、「ジェンダー格差」において、日本は世界121位と(調査対象153カ国)、前回の発表時よりも順位を落としてしまった。G7で最下位、アジアで中国、韓国より下位の国に誕生するプロリーグとして、今後は「チェアマン」ではなく、「チェアパーソン」といった名称を使う、女性の雇用率を高め、男子でも例にない「最低年俸」を保証するなど、強化だけではない価値を創出する方針だ。
発表会見では、橋本聖子五輪相、鈴木大地スポーツ庁長官が「日本の女子スポーツだけではなく、社会をリードして下さい」と、祝福と期待を込めてコメントを寄せた。
一方、コロナ禍で、企業、スポーツ団体が来年、再来年まで続くだろう苦しい経営状況に置かれ、Jリーグをはじめ全てのサッカー、スポーツが活動休止を強いられている。あえて、ベクトルが全く異なるように見える新プロリーグの発表に踏み切った理由を、田嶋幸三・JFA会長はこう説明する。
「日本中が大変な時に、新しいリーグをスタートしていいのか、といった色々な議論は確かにありました。しかし、今だからこそ、踏み切るべきだとの結論を出しました。投資するもの、我慢するものの選択と集中をする。女子サッカーには投資をしていく」
会長の言葉通り、JFAは今期の予算枠で、コロナウイルス関連に7億円を確保した。加えて女子サッカーに対して3億円を投入する。背景にはいくつか理由がある。
実は6月25日に、FIFA(国際サッカー連盟)が、2023年女子W杯開催国を決定する。かつての開催地決定方法とは違い、今回は調査団がすでに各国の視察を終えており、投票もアディスアベバでの理事会で行うはずだったが、急きょ、オンライン会議での決定となった。立候補国は、
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