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コロナ危機でますます困窮する難民をどう支えるか~支援の現場から

誰も取り残さず、誰も排除しない社会をどうつくるか?

石川えり 認定NPO法人難民支援協会代表理事

コロナ危機下の難民の実情

 難民支援協会が把握している中では、早々に影響を受けたのはホテルや飲食業でアルバイトや契約社員として働いていた難民だ。3月上旬頃から「仕事の時間をカットされて収入が減っている」という相談がくるようになり、「これまでフルタイムで働いていたホテルの仕事は日に日に時間が削られ、とうとう1日も出勤できなくなってしまった。」という悲痛な訴えを電話口で聞くことも増えた。

 時短や減給に遭ったある難民は、「シフトが減る中でずっと他のアルバイト探しを続けていたが、国籍や日本語レベル、高齢を理由に、採用されることは難しい。ようやく見つけた工場の仕事も、週2日~4日で、当日に電話が来る」と先行きが見えない不安を語った。「仕事をなくして家賃を払えなくなってしまい、とりあえずは待ってもらっているが、2週間以内に払えないと今度は出ていかなくてはいけない。」という相談もあった。失業から自宅を失う寸前の人や、すでに失った人がもいる。

 仮放免などで就労許可がないことや、体調が悪いといった理由で就労ができない難民申請中の人たちもいる。こうした収入の途がない難民申請中の人への政府の支援金は限定的なため、彼らはモスクや教会といった宗教上のつながりや、友人・知人・近所の人を中心とした個人的な人間関係に支援を頼る場合が多い。

 しかし、コロナ禍により、個人による支援も弱体化しつつある。「働いている知人や友人に頼んで少しずつお金を借りていたが、彼らも失業してしまい一切の収入が絶たれてしまった。もうガス代も電気代も払えない。食べ物も何もない、お米がもう少し残っているだけ」という相談からは、彼らを何とか支えていた命綱が途切れ、非常に困窮していることが明らかだ。

 民間の支援団体や宗教団体を頼る人も多かった。しかし、三密を避けるため、宗教施設も閉じられており、集い、祈ることもできず、宿のない人が寝るための場所を提供されることも、今はかなわない。

難民受け入れの厳しい現状

 彼らが追い詰められる背景には、日本の難民受け入れの厳しい現状がある。

 難民とは紛争や迫害のおそれのために、故郷から逃れざるを得なかった人である。たとえば、独裁政権下で民主化運動に参加したことで投獄された人、国から認められていない宗教に改宗した人、同性愛者など性的マイノリティであることを理由に死刑を含めて罰せられる可能性がある人などで、現在、避難を余儀なくされている人は世界で7000万人以上いる。

 日本へ逃れている人も少なくない。日本の難民認定率が低いことは、よく知られているが(参考)、難民申請中の人たちがどのような生活を送っているかは、十分に知られていないように思う。

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筆者

石川えり

石川えり(いしかわ・えり) 認定NPO法人難民支援協会代表理事

1976年生まれ。上智大学卒。1994年のルワンダにおける内戦を機に難民問題への関心を深め、大学在学中、難民支援協会(JAR)立ち上げに参加。大学卒業後、企業勤務を経て2001年よりJARに入職。直後よりアフガニスタン難民への支援を担当、日本初の難民認定関連法改正に携わり、クルド難民国連大学前座り込み・同難民退去強制の際にも関係者間の調整を行った。2008年1月より事務局長となり2度の産休をはさみながら活動。2014年12月に代表理事就任。第5回日中韓次世代リーダーズフォーラム、第2回日韓未来対話にそれぞれ市民セクターより参加。共著として、『支援者のための難民保護講座』(現代人文社)、『外国人法とローヤリング』(学陽書房)、『難民・強制移動研究のフロンティア』(現代人文社)ほか。上智大学非常勤講師。一橋大学国際・公共政策大学院非常勤講師。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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