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[42]世界中の路上生活者を支えた猫の死

「反貧困犬猫部」と「ボブハウス」

稲葉剛 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科客員教授

ボブが支えた世界中の路上生活者

拡大「ビッグイシュー」の表紙を飾ったボブ
 ボブが支えた路上生活者は、ボウエンさんだけではない。

 ボブは、「ビッグイシュー日本版」を含む各国の「ビッグイシュー」の表紙を何度も飾った。ボブが表紙に登場する号は、ハリウッドの有名俳優が表紙に出る号に負けず劣らず、売れ行きが良いことで知られていた。

 結果的にボブは、世界各国で「ビッグイシュー」を販売する路上生活者の生計を支えていたのである。

 「ビッグイシュー日本版」でもボブが表紙に載る号(通称、「ボブ号」)は人気で、過去に4度、表紙を飾っている。

 4号のうち、2回目以降は12月~1月に発行されているが、そこには「ボブ号」で販売者の収入を増やして、冬の寒い時期、路上ではない場所で過ごしてもらいたいという編集部の意図があったのではないかと私は推察している。

 「ビッグイシュー日本版」は6月17日、Twitterの公式アカウントで、「ボブ号」を並べた写真とともに、以下のようにボブへの感謝の言葉を発信した。

“ビッグイシューの販売者を支えてくれたストリートキャット「ボブ」が、6月15日に天国へ向かいました。英国の販売者James Bowenさんがボブとの経験を記した著書・映画は世界中で人気を博し、ボブは一躍ビッグイシューの立役者に。日本にも来てくれてありがとう。これからも、ボブは私たちの心にいます。”

 余談だが、今年の1月、ビッグイシュー販売者とともに行った書き初め大会で、私は「ボブ、偉大」という文字を書いた。

 私は過去26年間、ホームレスの人たちを支援する活動に取り組んできたが、冗談ではなく、自分が行ってきたことはボブの足元にも及ばないな、と常々感じていたからである。

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筆者

稲葉剛

稲葉剛(いなば・つよし) 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科客員教授

一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事。認定NPO法人ビッグイシュー基金共同代表、住まいの貧困に取り組むネットワーク世話人。生活保護問題対策全国会議幹事。 1969年広島県生まれ。1994年より路上生活者の支援活動に関わる。2001年、自立生活サポートセンター・もやいを設立。幅広い生活困窮者への相談・支援活動を展開し、2014年まで理事長を務める。2014年、つくろい東京ファンドを設立し、空き家を活用した低所得者への住宅支援事業に取り組む。著書に『貧困パンデミック』(明石書店)、『閉ざされた扉をこじ開ける』(朝日新書)、『貧困の現場から社会を変える』(堀之内出版)等。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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