メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

「Black Lives Matter」の訳は「黒人の命をなめるな」がふさわしい(下)

「黒人問題」ではなく「白人問題」、「沖縄問題」ではなく「ヤマト問題」

田中駿介 慶應義塾大学法学部4年

 本稿の(上)では、Black Lives Matterの起源を振り返りながら、沖縄反戦平和運動との共通性に言及した。(下)では、日本における黒人差別や、重層的な「複合差別」に触れつつ、Black Lives Matter運動が盛り上がりをみせる理由に迫っていきたい。

Black Lives Matterのデモで、ボードを掲げながら歩く参加者=2020年6月14日、東京都渋谷区、筆者撮影拡大Black Lives Matterのデモで、ボードを掲げながら歩く参加者=2020年6月14日、東京都渋谷区、筆者撮影

日本の原発電力を支えてきた黒人たち

 黒人差別問題に関して、日本人は「蚊帳の外」にいるわけではない。

 アパルトヘイト政策を行った南アフリカ政府から、嬉々として名誉白人の称号を受け取った。財閥の経済活動を優先させたこうした政策は、国連のアパルトヘイト特別委員会からも批判されることになった。

 それだけではない。日本の原発電力を支えてきたのは黒人たちだった。それは原発で使うウラン採掘の際にアフリカの黒人が被ばくしているだけにとどまらない(注1)。日本の原発でも、多数の黒人が従事していた。

 写真家の樋口健二氏は、2011年6月に開催されたシンポジウム「そこで働いているのは誰か――原発における被曝労働の実態」(主催:アジア太平洋資料センター)で以下のように講演している。

 国会で「黒人が被ばくしているかもしれない。これはやがて国際問題にも発展するのではないか」などと質問した。しかし旧通産省などの局長は「それは知りません」「来ているわけがない」などと答え(…中略…)共同通信を通じて、全国の地方紙に掲載された。私が撮影した黒人の写真を見て、局長たちも認めざるを得なくなったのだ(注2)

 元東京電力社員の蓮池透氏によると、「当時、黒人には放射線量をどのくらいまであびることができるのかといった制限がなかった」(注3)のだという。

 しかし、同時に我々が考えなければならないのは、黒人だけでなく、沖縄、女性、障害者……さまざまなマイノリティーに、構造的差別の被害を押し付けてきた/いるという事実である。しかも、こうした「当事者性」は極めて複雑なものである。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

田中駿介

田中駿介(たなかしゅんすけ) 慶應義塾大学法学部4年

北海道出身。政治哲学、戦後市民社会論を専攻。旭川東高校時代、政治について考える勉強合宿を企画。その後、政治教育について論じるようになり、慶大「小泉信三賞」、中央公論論文賞・優秀賞を受賞。twitter: @tanakashunsuk

田中駿介の記事

もっと見る