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「孤立社会」日本を襲ったコロナ危機。個人の孤立化を進めないために

ポストコロナを生きる② ソーシャルディスタンスの時代に他者との関係をどうつくるか

奥田知志 NPO法人抱樸理事長、東八幡キリスト教会牧師

「孤立」はいっそう深刻化

 炊き出しを止めた団体もあるようだが、私達は続けた。ただ、やり方は変え、弁当や物資を配り終えた途端、解散にした。くやしさを晴らすため、ボランティア部の呼びかけで全国の支援者が手紙を書き、弁当に添えた。

 抱樸の支援は「伴走型支援」といい、「濃厚接触」が基本だ。それは、従来の課題解決が目的の支援ではなく、「つながり(伴走)」を目的とした支援だからだ。「孤立」が深刻化した時代に生まれた支援のかたちと言える。これもまた、「新型コロナ」以前からあった問題だが、コロナで孤立はいっそう進むと思う。

 今から32年前の1988年12月、NPO法人抱樸は、おにぎりと豚汁をもって野宿する人々を訪ね始めた。もちろん、炊き出しだけでは問題は解決しない。1990年頃から、住宅の支援を始めた。当時、路上生活者の抱える「困窮」は、「家が無いこと」と「仕事が無いこと(仕事が出来ない人には生活保護を申請)」だと考えていたからだ。アパートを提供し、就労支援や生活保護申請を始めた。

見落としていた大切なこと

 最初に居宅を提供したのは70歳代の男性だった。無事に入居をすませ、生活保護の申請をした。ところが、入居後数カ月して、大家から「異臭がする」との連絡が入った。訪ねるとすでに電気は止まっており、家はゴミ屋敷状態。本人は無事だったが、ボランティアが総出で部屋を片づけた。

 なぜ、こんなことになったのか。

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筆者

奥田知志

奥田知志(おくだ・ともし) NPO法人抱樸理事長、東八幡キリスト教会牧師

1963年生まれ。関西学院神学部修士課程、西南学院大学神学部専攻科をそれぞれ卒業。九州大学大学院博士課程後期単位取得。1990年、東八幡キリスト教会牧師として赴任。同時に、学生時代から始めた「ホームレス支援」に北九州でも参加。事務局長等を経て、北九州ホームレス支援機構(現 抱樸)の理事長に就任。これまでに3400人(2019年2月現在)以上のホームレスの人々の自立を支援。その他、社会福祉法人グリーンコープ副理事長、共生地域創造財団代表理事、国の審議会等の役職も歴任。第19回糸賀一雄記念賞受賞な ど多数の表彰を受ける。NHKのドキュメンタリー番組「プロフェッショナル仕事の流儀」にも2度取り上げられ、著作も多数と広範囲に活動を広げている。著書に『もう一人にさせない』(いのちのことば社)、『助けてと言える国』(茂木健一郎氏共著・集英社新書)、『生活困窮者への伴走型支援』(明石書店)等

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