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「このままでは学校が危ない︕」 ⼦どもの笑顔と未来のために考えるべきこと

住田昌治 横浜市立日枝小学校校長

 「例年なら夏休みですよね。今年は梅⾬も⻑いし涼しかったので、梅⾬明けの猛暑に体がついていけるか⼼配です。去年までは熱中症対応に苦慮していましたが、今年はそれに加えてコロナですからね。しかも、最も暑い時期と残暑の時期に授業がありますから、⼼配は何倍にもなります。⼦どもはコロナで重症化しないと⾔いますが、熱中症は怖いですからね。学校再開後、新しい学校の⽣活というストレスフルな状態で、全⼒で突っ⾛って来た⼦どもも教職員も、疲れがピークに来ているだけに、夏休み後の健康状態が気になります。登校しぶりや不登校の⼦ども、倒れる教職員が増えなければいいのですが。すでに体調不良で休んでいる教員や⼦どももいますからね。メンタルケアも必要になってきましたね」

 こういう会話が聞かれるようになってきました。コロナ禍によって⼤変なことが起こっているわけですが、学校は変わらず授業を進めていくことに⼒を注いでいるようです。横浜市では、⼟曜授業はやっていませんが、7時間授業をやっている学校はあるようです。また、夏休みも⼤きく短縮し、8⽉3⽇から16⽇の2週間になりました。この4カ⽉のストレスと疲れが2週間で回復できればいいのですが。

毎日健康チェック。子どもたちはちゃんとやっています

「夏休みを欲しい︕」と⼦どもたちが訴えてきたら

 新型コロナウイルスの影響で、公⽴⼩中⾼校や特別⽀援学校で休校を実施した全国1794教育委員会のうち95%の1710の教育委員会が、夏休みなどの⻑期休みを短縮することが、⽂部科学省の調査でわかりました。

 ⼩中学校で夏休みの期間を「20⽇間以下」とする教育委員会は7割、⼩中学校のいずれも「16⽇間」とした教育委員会が最多、⾼校は「23⽇間」が最多です。夏休みが最も短い⼩中学校は「9⽇間」(⼩学校105教委、中学校139教委)、⾼校は「4⽇間」(1教委)だったそうです。今⽉の豪⾬被害による休校で、さらに短くせざるを得ない⾃治体が出る可能性もあります。暑い期間に授業を強いられる⼦どもたちや教職員の体調や精神⾯のケアが⼀層求められます。

 また、休校期間が⻑引き、各教育委員会では学習の遅れを取り戻すための授業時間の確保のため、夏休み短縮のほか、97%の教育委員会が⼩中⾼校で運動会や修学旅⾏など学校⾏事の⾒直しを⾏っています。⼟曜⽇を授業などに活⽤する教育委員会は19%だったそうです。

 新型コロナウイルスによる⻑期休校の影響で、全国ほとんどの学校が夏休みを短縮して授業を実施する状況について、萩⽣⽥光⼀⽂部科学⼤⾂は7⽉21⽇の閣議後会⾒で、「夏休みにしかできない貴重な経験がある。そういう機会を失うことがないように、出⽋には柔軟な対応をしてほしい」と述べました。

 萩⽣⽥⼤⾂が会⾒で話されたことには、強く同意します。夏休みは、⽇頃できないことに取り組んだり、普段は会えない⼈に会ったり、特別な⾏事に参加したりと、⼦どもたちにとってかけがえのない時間だったはずです。コロナ禍にあっても本来確保しなければならない⼤事な時間だったと思います。それを⼦どもに相談することもなく、⼤⼈の都合で勝⼿に休校した⽳埋めのために夏休みを短縮するのが当たり前だとするのは、あまりにも理不尽なのではないかと思います。

 「夏休みを欲しい︕」と⼦どもたちが訴えてきたときに、それを否定することはできないと思います。また、⼟曜授業をして代休を与えないことや7時間授業を⾏うことも、⼦どもにとっては虐待にも当たる⾏為だと思いますし、教職員にとっては⻑時間勤務を助⻑する⼤問題です。このままだと病院と同じように学校も危ない状況に陥ります。

10年後、20年後、⼩学校の思い出をどう話せるか

 さて、皆さんは、「⼩学校の頃の思い出は︖」と聞かれたらどう答えますか︖ よく、卒業式の呼びかけで、1年⽣の思い出から順番に語っていく場⾯があります。1年⽣は⼊学式、新しいランドセル、初めての授業、2年⽣は、クラス替えや遠⾜、3年⽣は学習発表会や総合の学習、4年⽣は宿泊体験学習や10歳を祝う会、クラブ活動、5年⽣は林間学校・臨海学校や委員会活動、そして6年⽣は、修学旅⾏や運動会が定番のようです。中には、いい思い出として残っていない⼦もいるかもしれませんが、多くの⼦どもたちの思い出に残るのは学校では⾏事なのだと

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