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【37】日本の歴史に大きな影響を与えた感染症や自然災害

福和伸夫 名古屋大学減災連携研究センター教授

貞観時代の疫病と地震・火山よる摂関政治と国風文化の始まり

 平安初期の貞観時代には、861年5月24日に福岡県直方に隕石が落下した。目撃記録が残る世界最古の隕石と言われる。863年7月10日には越中・越後で地震が起きた。同年には都で疫病が蔓延し、落命した人の霊を鎮めるため御霊会が神泉苑で開かれた。

 翌864年7月2日には、富士山が大噴火した。貞観噴火と呼ばれる割れ目噴火で、青木ヶ原を溶岩が埋め尽くし、剗の海の大部分が埋まり、西湖と精進湖が残った。

 866年に応天門の変が起きて伴氏が滅亡し、藤原北家の藤原良房が摂政に就き摂関政治が始まる。868年8月3日には山崎断層が活動した播磨国地震が起きる。さらに、869年7月13日に、東日本大震災と似た貞観地震が発生した。2011年東北地方太平洋沖地震のような超巨大地震は、869年貞観地震、1454年享徳地震と、500~600年の間隔で起きているようだ。貞観地震の様子は日本三代実録や、清原元輔の「契りきな かたみに袖を しぼりつつ 末の松山 波越さじとは」(後拾遺集)に

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筆者

福和伸夫

福和伸夫(ふくわ・のぶお) 名古屋大学減災連携研究センター教授

1957年に名古屋に生まれ、81年に名古屋大学大学院を修了した後、10年間、民間建設会社にて耐震研究に従事、その後、名古屋大学に異動し、工学部助教授、同先端技術共同研究センター教授、環境学研究科教授を経て、2012年より現職。建築耐震工学や地震工学に関する教育・研究の傍ら、減災活動を実践している。とくに、南海トラフ地震などの巨大災害の軽減のため、地域の産・官・学・民がホンキになり、その総力を結集することで災害を克服するよう、減災連携研究センターの設立、減災館の建設、あいち・なごや強靭化共創センターの創設などに力を注いでいる。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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