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Jリーグ・遠藤渓太のドイツ移籍が示す、コロナ禍での海外移籍の新しい形

増島みどり スポーツライター

ゴールを決める横浜マの遠藤渓太=2019年12月7日、日産スタジアム、伊藤進之介撮影

「泥水をすすってでも」この移籍への覚悟

 7月25日、昨季Jリーグ王者の横浜F・マリノスのMF、遠藤渓太(22)の移籍が決まった。ブンデスリーグ(ドイツ1部)ウニオン・ベルリンと、来年6月30日までのレンタル移籍で合意。下部組織のスクールから16年間、マリノス一筋の生え抜きで活躍し、2016年にトップチームに昇格すると、昨年はクラブ15年ぶりとなるJ1優勝にも貢献した。また、昨年12月には日本代表にもデビューを果たすなど、来年の東京五輪を目指す五輪世代としても期待される若手の1人だ。クラブのリリースを通じて、今回の移籍への強い思いを表した。

 「(中略)自分にとって初めての移籍ということもあってもちろん不安もあります。それでも一切逃げるつもりはないし、どんな壁に当たっても泥水すすってでも何かを掴んでこようと思っています。恩返しはドイツで結果を残して活躍する事だけだと思っています」

 「泥水をすすってでも」と、気持ちを表す例えは、久しぶりに聞く「昭和の」表現で意外だったが、その言葉に、海外移籍というビッグチャレンジへの貪欲さが集約されていたのだろう。同世代で、17年U-20ワールドカップ出場メンバーは、大会開催地を取って「韓国組」、などと評される若手の有望株が揃う宝庫としても知られる。

 セリエAの冨安健洋(ボローニャFC)、スペインの久保建英(19~20年シーズンはマジョルカ)オランダの堂安律(PSVアイントホ―フェン)ら7人が先に欧州リーグでプレーをする姿に反骨心をかきたてていたはずだ。

 移籍するウニオン・ベルリンは旧東ドイツのクラブで、昨季史上初めて1部に昇格し今季11位とクラブの規模を前提とすると大健闘したといえる。元日本代表内田篤人(鹿島)もかつて2部時代に在籍した。

ドイツはコロナウイルス入国禁止措置中も特例で入国へ

 2月から続くコロナ禍で、中断を余儀なくされたJリーグにとって、新しい海外移籍の形を模索する前例でもある。欧州のシーズンに合わせ、この時期にイングランド・プレミアリーグ、イタリア、ドイツ、スペイン、フランスの欧州5大リーグに移籍をしたのは、今季は遠藤が一番手になる。日本の感染状況、対策と、入国する国の感染状況と対策を合わせて運用される点に注目する。

 現在日本の渡航規制で、ドイツは渡航中止勧告が取られている。

 こうした中、第三国出身の高度専門労働者で、その労働が経済的観点から必要であり、延期や外国からの遂行が不可能である場合、または急を要する出張……とする特例の部分がコロナ禍での海外移籍での適用例となる。この場合、

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