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被爆3世を撮る(2)家族の戦争体験を「わがこと」に

益田美樹 フリーライター、ジャーナリスト

いかにして「わがこと」にするか

 堂畝さんのこの活動は、2015年1月に始まった。その後、同じ世代の賛同者が増え、現在は「被爆三世 これからの私たちはproject」として運営している。撮影した写真も、全国で展示を受け入れられるようになった。

 撮影時に大事にしているのは「被爆の体験を家族で話す機会にしませんか」という被写体家族への声掛けだ。実は、家族間で戦争の体験を語り合うことは、案外、難しい。前線へ出向いた元兵士たちの場合、現地で相当に悲惨な目に遭ったのか、口にするのも避けたがるほどの経験をしたのか、家族にも体験の真実を語らなかったケースは少なくない。日本にいて、原爆や空襲に直面した人たちにも「思い出すのも嫌」という人々は相当数いる。

 堂畝さんは言う。

 「私たちの世代が家族の被爆体験を『わがこと』にする、そのきっかけをどうにか作れないかと思って。作品のキャプションを2世、3世に書いてもらうのもそのためです。被爆者の祖父母を持つ私たちは、実体験を直接聞くことができる最後の世代ですから」

 実は、堂畝さん自身も被爆3世だ。

拡大堂畝紘子さん(撮影:益田美樹)
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筆者

益田美樹

益田美樹(ますだ・みき) フリーライター、ジャーナリスト

英国カーディフ大学大学院修士課程修了(ジャーナリズム・スタディーズ)。元読売新聞社会部記者。著書に『義肢装具士になるには』(ぺりかん社)など。フロントラインプレス(Frontline Press)所属。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです