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波の削減に踏み切った辣腕の前田NHK会長

危うさはらむ有力政治家との直談判、番組減少で影響を受けるのは制作会社

川本裕司 朝日新聞社会部記者

経営手法はトップダウン

 前田会長の経営手法はトップダウンという。高いボールを投げたうえで、部下を競わせて提案させ、いいものを採用する。決定するまで局内の現場では経緯がわからず、全容を知るのは正籬聡副会長・放送総局長と松坂千尋専務理事ぐらいと見られている。前田会長は放送現場には具体的な注文を出さず、みずほフィナンシャルグループ時代と同じ手法で組織のあり方の見直しを進めている、と見られている。これまでうたわれながら実現しなかったNHK内部の過去の改革案を参考にしている、ともいわれている。

 「クローズアップ現代+」のかんぽ生命の不正販売報道をめぐり上田良一会長(当時)に厳重注意した経営委員会が、処分の経緯や審議の経緯に疑念を投げかけられ、議事録の公開を拒否して苦しい立場にあった時期を逃さず、執行部が思い切った経営計画案に踏み切ったといえる。安倍政権もコロナ問題の対応に追われ支持率が落ち込む中で、NHKに口出ししにくい政治状況にあった。

 かつて波の数の削減を検討したNHK会長はいた。1989年4月に会長となった島桂次氏はその直後、マンパワーを集中させ強いチャンネルをつくるため、89年秋にも策定する長期計画(5~7年)でチャンネル数を削減することを盛り込むこととし、候補に教育テレビかラジオ第2があげられた。しかし

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筆者

川本裕司

川本裕司(かわもと・ひろし) 朝日新聞社会部記者

朝日新聞社会部員。1959年生まれ。81年入社。学芸部、社会部などを経て、2006年から放送、通信、新聞などメディアを担当する編集委員などを経て、19年5月から大阪社会部。著書に『変容するNHK』『テレビが映し出した平成という時代』『ニューメディア「誤算」の構造』。

 

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