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「リモート」で障害者を街で見ることが減っていく

ユニバーサルマナー講師・岸田ひろ実さんに聞く(下)

市川速水 朝日新聞編集委員

コロナ禍で「頼みづらい」社会に

――このミライロの2回の調査結果をどう見ますか。

 「調査対象の障害の種別は肢体不自由、視覚障害、聴覚障害、精神障害、内部障害、発達障害、知的障害と様々です。本当に、何となくは分かっているつもりだったのですが、自分と違う障害がある方の悩み事を改めて知った次第です。

 例えば弊社にも全盲のスタッフがいますが、買い物とかしづらくなって、どうしても手引きが必要で、それを頼みづらくなったと言います。相手の体にも触るし、近くで会話もするし、濃厚接触になる。買い物したくてもサポートを頼みづらくてなかなかできないと。そもそも消毒液がどこにあるか分からないので消毒できないとか」

――様々な原因でマスクをかけると体に悪影響が出る人や過敏など外見では分からない障害が原因で、まるで社会的なマナーを守っていないように見えてしまう点もあるようですね。

 「アンコンシャス・バイアス(無意識に事実をゆがめて意識してしまうこと)という言葉を最近聞くのですが、決めつけないということ、きっと理由があるんだろうとそれぞれが想像力、違う視点を持って人と向き合わないといけないんだろうなということですよね。

 車いすの私も、スーパーに食料品を買い出しに行くと、今まではレジの方が出て来てサッカー台まで運ぶのを手伝ってくれていましたが、今はビニールシートに隔てられて、店員の方が『やりましょうか』と言ってくれることがものすごく減りました。気づかなくてやらないのではなくて、ソーシャルディスタンスとか接触を避ける感染リスクを考えると、こちら側も想像できるわけですが」

――やってくれないとすれば、どう対処しているのですか。

 「やってくれないのが分かったので、息子を連れていくことが多くなりました。一人の時は、『お手伝いお願いできますか?』と頼む必要がありますが、相手の方はマスクで表情が分からないし、なるべく目を見て、快く引き受けてくれそうな人を探して頼むことにしています。

 週2回、ヘルパーさんに来てもらっていますが、自分は外にほとんど出ないから感染しているリスクはかなり低いと思いますし、ヘルパーさんとも信頼関係がありますが、窓は全開にしています。

 問題はまだあります。友人が通院介助のヘルパーをしているのですが、利用者さんもヘルパーを頼みづらい。病院に行けばコロナ感染者がいるかもしれない。ヘルパーさんにまでうつしてしまうかもしれないと気をつかって、頼みづらい。でも病院に行かなければならない。ヘルパーさんも利用者さんについていきたいが、本当に大丈夫なのかなと不安がありつつ、行きたくないとはいえない。二人の間がぎくしゃくしてしまうケースもあります」

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筆者

市川速水

市川速水(いちかわ・はやみ) 朝日新聞編集委員

1960年生まれ。一橋大学法学部卒。東京社会部、香港返還(1997年)時の香港特派員。ソウル支局長時代は北朝鮮の核疑惑をめぐる6者協議を取材。中国総局長(北京)時代には習近平国家主席(当時副主席)と会見。2016年9月から現職。著書に「皇室報道」、対談集「朝日vs.産経 ソウル発」(いずれも朝日新聞社)など。

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