2020年08月26日
8月19日、衆議院第一議員会館で「新型コロナ災害緊急アクション第2次活動報告会・緊急政府交渉」が開催された。
新型コロナ災害緊急アクション(以下、緊急アクション)は、生活困窮者支援に関わる全国の32団体が集まったネットワークである。
今年6月、緊急アクションは、コロナ禍の影響で生活に困窮している人たちからの相談を受け付け、緊急支援をおこなうためのメールフォームを開設した。私が代表を務める一般社団法人つくろい東京ファンドでは、それまで独自のメール相談を実施していたが、6月以降は緊急アクションの相談チームに加えていただいて、一緒に活動をおこなっている。
緊急アクションのメールフォームには、関東を中心に全国から生活に困窮している方々からの深刻な相談が寄せられている。
私が気になっているのは、7月下旬以降、コロナの感染者数が再び増加するのと歩を合わせるかのように、生活に困窮している人からのSOSが増えつつあることだ。
感染の再拡大を受け、東京都は7月30日、都内の酒類を提供する飲食店やカラオケ店に対して、営業時間の短縮を要請した。また、コロナ禍の長期化に伴い、飲食業を中心に廃業や倒産に追い込まれる企業も増えてきている。
そのため、これらの店舗で働いていた労働者から、仕事がなくなって生活に困っているという相談が寄せられるようになっている。
中には、緊急事態宣言中に、いったん東京都が提供したビジネスホテルに宿泊していたが、その後、店舗が再開したので住み込みの仕事に戻っていた、という人もいた。私たち民間の支援団体に相談をするのも、二度目という人も少なくない。
生活困窮者支援の現場では、4月から5月にかけて緊急の相談が殺到し、「野戦病院」のような状況があった。それを貧困拡大の「第一波」で呼ぶのであれば、今まさに「第二波」が押し寄せてきているのだ。
貧困の再拡大という事態が進行する中、最も深刻な状況に置かれているのは公的な支援策からこぼれ落ちている人たちである。
8月19日の院内集会と各省庁への交渉では、特別定額給付金の支給対象から実質的に除外されている外国人と路上生活者の問題が焦点となっていた。
特別定額給付金は、コロナ禍の影響を受ける全ての人を支える制度であり、総務省の案内チラシにも「日本にお住いの、すべての方へ。ひとりひとりのくらしのために。」と書かれている。
しかし、実際の運用では、基準日である今年4月27日時点で住民基本台帳に記録されている人に支給するという方法を採用しているため、住民登録のない外国人や住民票が消除されている路上生活者が受け取れないという問題が生じている。
例えば、外国人の場合、難民認定の申請をして8カ月未満の人や、いったん入管の収容施設に収容された後に仮放免になった人などは、住民基本台帳に記録されないことになっている。
集会と省庁交渉には多くの外国人も参加し、政府関係者や国会議員に、日本に暮らす外国人が直面している窮状を訴えた。
その上でベヘザードさんは、「コロナは感染者を国籍で選ばない。国籍を問わず、人間として同じ対応にしてもらいたい」と政府関係者に訴えていた。
また、ベトナム人の男性は、「私たち外国人、非常にたくさんの人数が日本で苦しい思いをしています。飛行機が出ないために帰国できない一方で、仕事がなく、住むところもない状況です。就労の許可がない人は、帰るお金や生活費を稼ぐこともできない状況です」と訴え、最近、さまざまなNPOからの寄付で助かっているが、政府には「当面の住むところと仕事、自分で生活手段を確保して、帰りの飛行機代を稼ぐ手段を認めてほしいと願っています」と話していた。
緊急アクションの事務局を務めている反貧困ネットワークでは、民間の寄付をもとに「反貧困緊急ささえあい基金」を創設して、生活に困窮した人々への現金給付をおこなっている。同基金にはすでに約8000万円の寄付が集まっており、8月8日時点で、計698件、金額にして計22,014,580円の給付が行われた。
実はこのうち、
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