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コロナでも「14日間休み」を取りたくない悲しい日本人

新型コロナという例外状況に対応できるリソースはもはや消え失せていた

赤木智弘 フリーライター

 いまや世界中で大々的に行われ、陽性者の発見と感染拡大の防止に役立っているPCR検査。特に韓国では早い段階から大々的なPCR検査が行われ、4月からつい最近の8月12日まで、1日の新規感染者を2桁台に押さえ込んできた。

 13日から感染者数が3桁を超えて拡大しており、今後どのようになるかは気になるが、今のところおおむね封じ込めに成功していると言っていい。世界は韓国の成功をモデルケースとして、PCR検査を拡大する傾向にある。

拡大ウォークスルー方式でPCR検査を受ける男性=2020年3月20日、ソウル

PCR検査に積極的でなはなかった理由

 一方の日本では、今でもPCR検査に積極的でない意見が根強い。まず、3月や4月頃の初期段階にPCRの大々的な実施に対して慎重だった理由は、いくつか考えられる。

 まず、新型コロナに対するPCR検査自体の確実性が疑問視されていたことだ。

 日本では「感度70%、特異度99%」という言葉が一人歩きし、「PCR検査をしてもたくさん偽陰性が発生する。PCR検査を拡充すれば本当は陽性なのに、陰性と判断された人が無罪放免と勘違いして、大手を振って出歩く」という「検査をすれば感染が拡大する」という内容の批判として広まっていった。

 次に、急激な新型コロナの流行に対し、感染者を片っ端から発見し隔離することは、医療リソースの不足を招くという予測があった。無症状だったり症状の軽い感染者を検査によって探し出すよりも、重症化し病院に入れざるを得ない患者を優先する事が重要だという考え方が広まった。

 また、医療に関係ない一般人の側から見ても、市場からはマスクが消え、医者からも「あれもこれも手に入らない」という話が流れてきており、こうした環境下で検査だけしても十分な体制が作れないと多くの人が考えるようになったのは必然だろう。

 こうして3月や4月頃の日本ではPCR検査に対して眉につばを付けて構える態度こそが科学的な態度であり、PCR検査の拡大を求める態度は安易なポピュリズムであるかのように認識されていた。

 当時の状況を考えれば、いずれの論点も決して的外れだったとは言えないであろう。僕自身、闇雲に検査を拡大するよりは、ひとまず重症化した人の命をつなぐことが大切だと考えていた。

 インフルエンザであれば、ウィルスの増殖を抑えることができる抗インフルエンザ薬を効果的に使用することができるので、早期検査は有効である。しかし、新型コロナに関しては、そうした薬が無い以上は、重症化した人たちに対するケアの方が重要であった。

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筆者

赤木智弘

赤木智弘(あかぎ・ともひろ) フリーライター

1975年生まれ。著書に『若者を見殺しにする国』『「当たり前」をひっぱたく 過ちを見過ごさないために』、共著書に『下流中年』など。

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