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初の陸上競技会開催で分かった国立競技場の評価とは

増島みどり スポーツライター

試合の感想は、選手ではなく、運営サイドでも重要に

 トップ選手による陸上競技会の「こけら落とし」に、レース後は、トラックの感触についての質問も多かった。注目された男子100㍍には、フロリダに在住するサニブラウン・ハキームを除く有力選手が揃い、予選、決勝の2本レースを桐生祥秀(日本生命)が制した。2位のケンブリッジ飛鳥(ナイキ)は、「走りやすかった」と話し、9秒98を持つ小池祐貴(住友電工)は五輪のイメージをつかめたと収穫をあげたうえで「(トラックの質が)結構硬いがスピードは出やすい気がする」とコメント。フィールド種目でも、走り高跳びの戸辺直人(JAL)が「硬めだが、助走をがんばらなくても進む感じだった」と歓迎していた。

 もっとも、こけら落としに、ネガティブな感想を言うのは難しいはずだ。また、イタリア・モンド社の「高反発」のトラックは、五輪ではこれで8大会連続採用され広く知られた仕様だ。国際競技会で慣れている選手は多い。一方で、国内には少ない材質のため、海外レースの経験がない選手たちは、本番に向かって使いこなす技術力が求められる。

 コロナ禍で練習が十分詰めなかった点も背景にあるが、この日、男子100㍍で10秒10を突破したのは桐生1人と寂しい(予選10秒09)。また、全種目でも、自己新記録で優勝したのは、田中の日本新など含めわずか3種目だけだった。高反発トラックの感想とは違った攻略法が必要だ。

 陸上の五輪会場として実際に使用し、手応えを感じていたのは選手だけではない。

 陸上ではロード種目を含め男女48種目にわたって、運営を行う競技役員、補助員、審判など多くの人々がタイムスケジュールを妨げないスムーズな競技進行にあたらなくてはならない。場内の司令役を中心としたそうした関係者にとって、

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筆者

増島みどり

増島みどり(ますじま・みどり) スポーツライター

1961年生まれ。学習院大卒。84年、日刊スポーツ新聞に入社、アマチュアスポーツ、プロ野球・巨人、サッカーなどを担当し、97年からフリー。88年のソウルを皮切りに夏季、冬季の五輪やサッカーW杯、各競技の世界選手権を現地で取材。98年W杯フランス大会に出場した代表選手のインタビューをまとめた『6月の軌跡』(ミズノスポーツライター賞)、中田英寿のドキュメント『In his Times』、近著の『ゆだねて束ねる――ザッケローニの仕事』など著書多数。

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